偏食は生活習慣病に繫がる2009/09/19 15:44

「毎日 30 種類以上の品目を食べる様に心掛けなさい」 とは良く耳にする言葉である. 偏食で好き嫌いが激しいと, 栄養が偏るため, 健康を損ね勝ちになる. 偏食が続くと, 糖質, 脂質, 蛋白質の 3 大栄養素は言うまでもなく, 身体の中の微量元素も不足し, 糖尿病を初めとする生活習慣病や老化を促す原因となる.

微量元素とは, 一日の摂取量が 100 mg 未満の元素のうち, 亜鉛, 銅, クロム, ヨウ素, コバルト, セレン, マンガン, モリブデン, 鉄の 9 種類を指す. これらは生命活動に必須の元素である. 例えば, 亜鉛は, 舌が味を感じる機能に拘っているとされており、この亜鉛は身体の総ての細胞中に含まれているが, 亜鉛が不足すると味覚が分からなくなる他, 凡そ 300 種類にのぼる酵素の働きをも活性化する. 例えば, 血中の糖濃度を制御する「耐糖能」 に異常が生じて糖尿病を惹き起したり悪化させたりする. 更に, 細胞分裂や細胞内の核酸の代謝機能にも関与している事も明らかになっている.

またクロムも亜鉛同様 「耐糖能」 に関与しており, 不足した場合, インスリンの働きが悪くなり, 糖尿病の一因となる.

更に, セレンは, 活性酸素の増加を抑える酵素にとって不可欠の元素であり, 老化と関係している.

鉄分の不足は貧血の原因となる. 鉄は, 酸素を運搬する赤血球中のヘモグロビンの主成分であるからである. 特に女性の場合, 月経により血液が対外排出されるため貧血に悩まされる事が少なくない.

各微量元素が不足した場合の疾患との関係は下記の表の通りである.

サプリメントは, 微量元素の補充と言う意味では一定の効果はあるであろう. 然し, 特定栄養素のみの摂取では万全ではないのである.

1 つには, 特定の微量元素のみの栄養不足と言う事は殆どなく, 多くの場合, 複数の栄養素が不足しているのである.

例えば, 亜鉛不足で味覚障害になる人は, 鉄分, マグネシウム, 銅, ビタミン類等も不足しているが, 逆に塩分や脂肪は摂取過剰であると言った具合にである. 特定の微量元素の補充は栄養バランスの改善には繫がらないのである. 栄養素と言うものはバランスよく摂ることが不可欠なのだ.

サプリメントに頼るのも悪くはないが, 基本は日々の食生活を大事にし, 偏食などせず, 出来るだけ数多くの食品を摂る様に心掛ければ, 敢えてサプリメントなどを摂るには及ばない.

「医食同源」 とは, 故新居裕久新宿病院長が初めて使った言葉であるが, 若い人に多いサプリメントが主となる食生活は, 私に言わせれば ”邪道” に近く, 偏食のない日々の食生活こそ自然で賢明と言えるのではなかろうか. 「医食同源」 とは至言である.

元素名 : 関連する症状と疾患
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亜鉛 : 味覚障害, 皮膚病, 成長遅延, 妊娠異常
銅 : 骨や血糖の異常, 貧血, 白血球減少
クロム : 糖尿病, 高脂血症ほか
ヨウ素 : 甲状腺, クレチン病
コバルト : 悪性貧血
セレン : 心筋症, 筋異常ほか
マンガン : 体重減少, 出血異常
モリブデン : 脳症など
鉄 : 貧血, 倦怠感など
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はり・きゅう・マッサージ トミイ
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