唾液の効能2009/10/07 15:20

唾液は, 1 日に 1 - 1.5 L も作られている. 唾液は, 消化, 抗菌, 粘膜の保護・修復, 歯の保護, 歯周病の予防など, 口腔内の病気の予防や治療に貢献している.

唾液には, 老化を防ぐ種々の有効成分が含まれていて, 生活習慣病の原因となる活性酸素の消去物質, 傷を修復する成長因子, 血糖値のコントロールやストレス緩和に役立つホルモン, 脳細胞の破壊を防ぎ修復を早める作用を持つ物質など, 生体にとって重要な物質を数多く分泌している.

唾液は, 年と共に, 外分泌腺が萎縮して分泌量が低下するが, 分泌量は自律神経に支配されているので, 緊張したりすると唾液が出難くなり口の中が乾いたりする.

ドライマウスと言って唾液が出難くなる病気があるが, 糖尿病やシェーグレン症候群と言った病気や, 薬の副作用, ストレスなどによっても唾液の分泌量が低下する.

日頃から食べ物を良く噛んで, 口の周囲の筋肉を鍛えたり, 梅干やレモンなど酸っぱいものを口にする様に心掛けたり, 精神的ストレスを取除く事で分泌量を高める事が可能となる.
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貝原 益軒の 『養生訓』 を読む (2)2009/10/13 21:21

養生の術は先ず心気を養うべし. 心を和にし, 気を平らかにし, 怒りと慾とを抑え, 憂ひ, 思ひを少なくし, 心を苦しめず, 気を損なはず, 是心気を養ふ要道なり. 又, 臥す事を好むべからず. 久しく眠り臥せば, 気滞りて巡らず. 飲食未だ消化せざるに, 早く臥しねぶれば, 食気塞がりて, 甚だ元気を損なふ. 戒むべし. 酒は微酔にのみ, 半酣を限りとすべし. 食は半飽に食ひて, 十分に満つべからず. 酒食共に限を定めて, 節に越ゆべからず. 又, 若き時より色慾を慎み, 精気を惜しむべし. 精気を多く費やせば, 下部の気弱くなり, 元気の根本断へて必ず命短し. もし飲食色慾の慎みなくば, 日々補薬を服し, 朝夕食補を為すとも, 益なかるべし. 又風寒暑湿の外邪を畏れ防ぎ, 起居動静を節にし, 慎み, 食後には歩行して身を動かし, 労働して血気を巡らし, 飲食を消化せしむ. 一所に久しく安坐すべからず. 是皆, 養生の要なり. 養生の道は, 病なき時慎むにあり, 病発りて後, 薬を用ひ, 針灸を以病を攻むるは, 養生の末なり. 本と努むべし. [巻第一 (9)]

主旨はお判りと思う. 心を穏やかに平常心を保ち, 酒食は程々, 身体を適度に動かし, 節度のある生活を送り, 気の滞る事のなきようにするのが養生の道だ, と説いている.

また, 睡眠は長く取り過ぎても, 気が滞るので良くない, とも言っているのは, なかなかの卓見と言える. 他所の箇所でも 「早寝早起き」 を説いている. 英語にも Early birds get the worm. (早起き鳥は餌に有り付ける) と言う諺がある. 早朝は, 所謂 「天の気 (エーテル)」 が一番大気中に満ちている時刻でもある. この時間帯にエーテルを身体一杯に吸い込み, 一日の活動に備える事は意味ある事なのである.

病気になってから薬を飲んだり, 鍼灸に頼ろうとせず, 健康な時の心掛けが養生の要である, と. 益軒は今で言う 「メンタルヘルス」 や 「予防医学」 の重要性に既に気付いていたのである.

貝原益軒は, 83 歳と当時としては長命を全うしたが, 養生訓に書かれている内容は, 日々自ら実践した事に基づいている. 寝たきりになって長生きしているのでは, 生きる楽しみが失われる. 人生, 心も身体も共に健康であってこそ.

単に長生きしさえすれば良いのではなく, 大切なのは, 所謂, 「健康寿命」 なのである.

ここでも出て来ているが、東洋医学では, 「気の滞り (ストレス) が血の流れを停滞」 させ, これが病の根源となる, と考えている. 現代社会はストレス社会であり, 精神的な意味でも, 肉体的な意味でも, ストレスは発生する. だからストレスを上手に発散する事が健康維持には大切である.

ストレス, 即ち, 気滞・血滞を取り除くのに, 東洋医学が役に立つ事は言うまでもない.
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ロコモ症候群2009/10/20 08:42

靴下を履く時, あなたは座って履くのだろうか? もしそうだとしたら, あなたは身体のバランスが取れず, 踏ん張りも利かなくなっていて, 転倒し易い状態になっている可能性が懸念される.

骨や関節などに障害があり, 寝たきりで介護が必要となる危険性の高い状態を総称して 「ロコモ症候群 (Locomotive Syndrome = 運動機能低下症候群)」 と呼んでいる. (10 月 26 日の NHK のテレビ番組 「クローズアップ現代」 でも取り上げていた.)

これは内臓脂肪が蓄積して病気になる 「メタボリック症候群」 と対になっている考え方で, 運動不足が嵩じて症状が惹き起されるものである. 転倒して大腿骨を骨折すると, 歩けなくなって寝たきりになり, その結果, 認知症に繫がる事が多い.

ロコモ症候群にならない為には, 1 日 3 回, 1 分ずつを目処に目を開けたまま, 片足起ちをして大腿骨頚部に負荷を掛けてやると, 大腿骨が骨折し難くなる事は, 全国の介護施設での実験で確認されている (3 ヶ月継続してやった人の略 6 割で, 骨密度が高まったとの報告がある. 片足起ちを 1 日 3 回, 半年間続けた人は, それ以外の人に較べ, 転倒回数は明らかに減少したと言う).

転倒防止には, 毎朝のラジオ体操も優れて効果的である. ラジオ体操は, 普段, 日常生活では滅多に使わない様な筋肉や関節まで動かせる様に, 良く考え抜かれた, 全身運動なのである.

また, 以前, 本欄で紹介したが, 短時間で手軽に出来る 「アイソメトリック運動」 を毎日行い, 特に大腿筋や腓腹筋, 前脛骨筋などを鍛えてやると, 転倒防止には大いに効果がある.

是非, 継続して毎日実践して欲しい.
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鎌田 實の 「がんばらない健康法」- 「7 悪 3 善 1 コウモリ」の法則から2009/10/28 09:00

鎌田先生は, NHK のラジオ番組 「鎌田 實のいのちの対話」 で有名である.

赴任した長野県の諏訪中央病院で, 地域と一体になった医療や心のケアを含めた医療に長年取組んだ結果, 同地は日本でも有数の健康長寿かつ医療費の安い地域となった.

その成果についてのエッセンスを纏めたのが表題の本である. 以下に鎌田先生の 「がんばらない健康法」 を要約してみたい.

7 悪とは, 喫煙, 肥満, ストレス, 脂質異常症, 高血圧, 糖尿病, 痛風の 7 つ, 3 善とは, 笑顔 (ニコニコ), 運動, 食物繊維, 1 コウモリとは, お酒 (アルコール) を指している.

お酒は, 或る時は鳥だと言い, 或る時は動物だと言い張った蝙蝠に擬え, 量次第では薬にも毒にもなる事から, コウモリと称した由である. お酒は, 適量ならば, 血管を拡張し, 血行をよくするので血圧を下げる.

人は血管から老いると言われるが, 煙草は言うまでもなく, 百害あって一利なし. 活性酸素が発生して, 血管を収縮させる. 痛風は尿酸が血管壁にこびり付いて, それぞれ脳卒中や心臓病を惹き起す.

介護の必要がなく, 自立した生活を送る事が出来る期間を 「健康寿命」 と言うが, これは 「血管年齢」 と密接な関係があるとされる.

毎日ニコニコ笑顔で暮すと, 副交感神経が優位に働き, 免疫力が向上, 血管が若返り, 所謂 “幸せホルモン” と言われる 「セロトニン」 の分泌が活性化されると言われている.

セロトニンは, ウォーキングなどのリズム運動をする事, 原料となる必須アミノ酸トリプトファンを多く含む肉類や乳製品, 赤身の魚などを食べる事, 太陽光を浴びる事等でも分泌が促進される. セロトニンの分泌が不足すると鬱病になり易いと言われている.

肥満を予防するには, 毎日体重計に乗って体重を計る週間を身に付ける事が効果的で, 鎌田先生は 「計るだけダイエット」, 日々の体重変動を気にするだけで充分だと言う. 

具体的なダイエットの手法となると, 先ず, 糖質を断つ食生活を心掛ければ, 脂質代謝が起って、ダイエットが可能になる. 皮下脂肪は付き難く, 落し難いが, 内臓脂肪は付き易く落ち易い.

言い換えれば, 脂質代謝は内臓脂肪から始まる訳である. 代謝は, 基礎代謝が 7 割, 生活代謝が 2 割, 食事代謝が 1 割とされているので, 肥満防止には基礎代謝を活性化するのが一番効果的である.

また, 病は気から、とは人口に膾炙した言葉であるが, 免疫力は精神力と極めて密接な関係にある. 長生きしたいと思っている人と, そうでない人との間で, 寿命に大差はないものの, PPK (ピンピンコロリ) は, 「長生きしたい」 と念じている人に多いと言う.

そして, 若さを保つ秘訣は, 人とのつながり, 自然とのつながり, 身体と心のつながりの 3 つだとの事. また, (特に, 内面の) おしゃれを心掛ける事も若さを保つ上では欠かせないと言う.

老化は, 活性酸素のフリーラジカルが血管壁や細胞を錆びつかせる事によって起るとされるが、老化予防の 10 ヶ条として下記を挙げている.

1) 抗酸化力の高い食事を心掛ける
2) 軽い運動を定期的に行う
3) ちょい太, ちょいコレ (ちょっとだけ太め, ちょっとだけコレステロール値が高い) が良い
4) 煙草は吸わない
5) 酒は適量を : 酒量 (g) = アルコール度数 (%) x アルコール量 (ml) x 0.8 (アルコール比重) / 100
6) 心をあっためる
7) 紫外線に当り過ぎない
8) 炭水化物を摂り過ぎない
9) 腹八分目
10) 睡眠は時間より質

また, 質の良い眠りを得るには,

1) 寝る時間前には食べない
2) 寝る 3 - 4 時間前に軽い運動をする
3) 寝る 1 時間ほど前に入浴 (38 - 40 度の湯加減が良い)
4) 部屋は暗く
5) 寝る前に, 読書や軽い音楽を

骨に負荷を掛けて, 骨量減少を防ぎ, 筋肉も落ちない 「がんばらない運動」 として推奨するのは, ストレッチ運動, スクワット, 腕立て伏せ, 背筋運動, 腹筋運動, そして鎌田先生得意の 「速遅歩き」 (ないしは, 深呼吸しながら 10 分間の足踏み運動) である. 速遅歩きでは, 体幹筋 (背筋と腹筋) を使って歩くのが鍵. 

何かをしながらの 「ながら体操」 でも結構. 中国武術 「スワイショウ」 も血行を良くする運動で, お奨めであると言う. 

更に, 腹式呼吸もお奨めであるが, これも, 特に息を吸う事よりも, 吐く事に精神を集中させるのが鍵.

食生活上は, 食物繊維を多く摂る事, (緑黄色) 野菜, 豆類, 胡麻, 果物, 芋, 海藻, 寒天等が食物繊維を多く含んでいる.

肉は, 蛋白質は勿論, カルシウムや鉄分も豊富な馬肉が良い. 魚, 特に, 鰯, 秋刀魚, 鯵, 鯖等, EPA (エイコサペンタエン酸) や DHA (ドコサヘキサエン酸) を多く含む魚を毎日でも食べる事が好ましい. 

酢の物の料理を始め, 食物繊維の宝庫で, 免疫力を上げるベータグルカンを含み然も低カロリーな茸料理も大いに食べる様にしたい.

また, 抗酸化物質のセサミンを含んでいる胡麻は最高のアンチエイジング (抗加齢) 食材である.

海藻は海の野菜, 大豆は畑の肉と呼ばれている. 昆布はナトリウムを排出し, 血圧を下げる働きを持つカリウムが豊富, 若布やヒジキはカルシウムや鉄分に優れ, 藻ずくは抗癌物質であるセレニウムが含まれている. 海藻の滑り成分であるアルギン酸とフコダインがコレステロールを抑えて血圧を下げる.

大豆に含まれるイソフラボンは女性ホルモンと同様, カルシウムの流出を防ぐ重要な働きを持っている. 生姜や唐辛子は新陳代謝を促進するので肥満予防となる.

以上であるが, 人間誰しも PPK で人生を全うしたいもの, 大いに参考にして可能な限り実践してみて欲しい.
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