「食べること、やめました」 - 1 日青汁 1 杯だけで元気に 13 年 (森 美智代著, マキノ出版) - (Part 2)2010/01/11 20:48

森さんは, ご自身の鍼灸治療について, 以下の様に述べている. 

鍼灸治療の何たるか, その一端を示すものとして, 患者さんにとっても興味深いものがあるものと思われる.

また, 東洋医学の奥深さと言うものを窺い知ることも出来るのではないか, と思われるので、以下に紹介したい.

鍼灸には色々な流儀があるが, 森さんが (鍼灸師になるよう勧めてくれた) S 先生から教わったのは 「古典派」 に属する治療法で, 2000 年以上前に中国で書かれた方法に則したもの.

この流派のやり方は, 「鍼を深く刺さない, 痛くない」 と言うのが特徴である.

私たちの体には、「経絡」 と呼ばれる 「気 (一種の生命エネルギー)」 の通り道が走っている.

その要所要所にあるのが 「ツボ (経穴)」 で, よく 「経絡が “線路” だとすると, ツボは “駅” の様なもの」 と言う例えが使われる.

「線路」 の流れが悪くなると, 病気や不調が起る. その時、「駅」 であるツボに働きかけると, 流れが良くなって病気や不調が改善される.

それが鍼灸治療の基本であるが, ツボへの 「働き掛け方」 は流儀によって違うのだ.

現在, 行われている鍼灸治療の多くは, 経絡上のツボに, 深く長く鍼を刺す. その刺激によって, 滞っていた経絡の流れ (気の流れ) を良くする方法である.

然し, 森さんが S 先生から教わったやり方は, 鍼を極く浅く刺しておいて, そこから気を送り込むのである.

鍼は, 気を送るための “導入者” の様なもので, 刺激具ではない. それ故, 深く刺す必要はなく, 痛みもないのである.

ツボの位置を覚えたり, 探したりするのは, 通常, 容易く出来るものではない.

然し, 森さんにとっては, 一度ツボの場所を教わったら後は簡単だった. 何故なら, そこから気が出入りするのが見える様になったからだと言う.

それは 「見える」 と言っても, 半ば 「感じる」 に近い現象だと言う. 体にある経絡そのものも, 川の流れのように感じる事ができるし, その経絡上にあるツボから, 色のついていない空気の流れの様なものが, 息をする様に出たり入ったりしているのが分かるのだそうだ.

経絡の流れと共に, ツボからの気の出入りを眺めて (感じて) いると, まるで 「ここに鍼を打って, 打って」 と言う様に, 激しく上下する様に気が出入りしているツボがある.

そこに鍼を刺し, 施術者の手から気を送り込むのである.

そのツボが 「もっと欲しい」 と言わなくなるまで, 詰り満タンになるのが感じられるまで, そうやって気を送ってやる.

ツボが “満足” するまで気を送ると, それまで緩やかに流れていた経絡の気が, 急に速度を速めてピューっと流れるようになる.

その流れが, それまで充分に行かなかった場所 - 患者さんの弱い所や悪い所 - に到達すると, そこが良くなって来る.

すると, 食べられなかった食事が食べられる様になったり, 眠れる様になったり, お通じがよくなったりする様になる.

人にもよるが, その効果は, 鍼を打った時, 打った日が最高ではなく, 翌日の方が強くなり, 翌々日にピークを迎える.

然し, 症状や病気の元になる習慣などを続けていれば, 当然の事ながら, その後はまた戻ってしまう.

森さんは, ツボが感知出来る様になったので, 鍼を打つ場所探しには苦労しなかったが, 開院当初には, 別の困った問題に直面する.

病気や不調を持っている人は, 如何しても 「邪気 (いわゆる悪い気)」 を発している.

治療家は, その邪気によって体にダメージを受ける事が少なくないのである.

最初の半年, 森さんは, 患者さんの邪気を受けて疲れ, 高熱を出したりした. 熱が出ても普通に治療していたが, ずっとそんな具合なら, 一寸鍼灸師を続けるのは難しいかもしれないとも思ったと言う.

そんな時, 思わぬ処から活路が開けたのである.

実は, 鍼灸学校に行っている時, 森さんは M 先生と言う医師に出会っている.

医学部の学生時代から瞑想などをしていた M 先生は, 医師になってから, 患者さんが症状を説明する前に, 「勝手に自分の手が動いて悪い所を揉む」 と言う経験をしていると言う.

「先生, 何故痛いところが判るのですか」 と訊かれて, 「プロだからです」と答えたのだが, 本当は手が勝手に動いたのであって, 自分の意思ではなかったそうだ.

以来, 医師でありながら, M 先生はこの力を用いた 「按摩」 によって, 患者さんを治す様になったと言う.

一般に言う 「穢れ」 や 「汚れ」 とは, 元々 「気枯れ (キガレ)」 の意味で, 生命エネルギー (気) が枯れている, 詰り, 少ない所に老廃物が溜まる現象である.

お腹なら, 腸を動かすエネルギーが減ると, 便秘を起して宿便が溜まる. 肩のエネルギーが不足すると, 凝りが溜まる.

M 先生は, そう言う部位に何処かから調達したエネルギーを補給し, 按摩で流れを良くして老廃物を取り, 患者さんを治療していた.

M 先生故人の力ではなく, 先生がアースや導入管の様になって, 送られて来る気を患者さんとの間に循環させていたのだ.

そのエネルギーの出所は, 「神様」 「大宇宙」 「超自然」 ...色々な表現が出来るが, 森さんは, 「神様」 と呼んでいる.

M 先生に纏わる不思議な事は, この治療法だけではない.

周囲にいる医師や治療家が M 先生の按摩を受けると, その人たちにも M 先生の 「力」 が移り, 勝手に体が動いて 「循環」 が出来る様になると言う.

鍼灸師になって, 邪気を受けてしまうので困っていた時, 丁度いい機会があり, 森さんも M 先生に按摩をして戴く機会を得た.

80 歳と言うご高齢なのに, 然も, そんなに力を入れていないのに, その時はナイフで切られる様な痛さを感じたと言う.

その治療が終ると, 森さんも 「循環」 による治療が出来る様になったのである.

それまで, 森さんは手当てや鍼灸をする時, 凄く自分で考えて意識し, 脉を診て, 悪いところを調べて治療していた. 意識を集中し, 眼一杯頭を使っていた.

それで疲れも強かったのだが, M 先生の力をお裾分け (?) して戴いてからは, 流れに身を任せると言うか, 「他力無我」 と言う感じの治療が出来る様になったのである.

神様からのエネルギーを受け取って患者さんとの間に作った回路に流し, また自分に戻して循環させると言うやり方が出来る様になったのだ.

自分の出せる気の泉は多寡が知れているが, この方法だと, 大きなエネルギーをガーっと動かせるので, 効果的で治りが早く, 然も疲れないと言う.

これが出来る様になって, 鍼灸師を続けて行く本格的な自信が付いたのだそうだ.

(Part 3 に続く)
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はり・きゅう・マッサージ トミイ
http://www.ne.jp/asahi/shinqma/tommy/index.html
(なお, 診療予約時、「健康小話」 を読んだ, と言って戴いた患者さんは,
初診料が半額になります.)