身体の「冷え」と HSP (Heat Shock Protein = 熱ショック蛋白)2010/02/01 22:30

先週金曜日 (1 月 29 日) の 19:30 から NHK の 「特報首都圏」 で, 『"冷える" カラダ ~温かい体を取り戻せ』 と題した番組が放送された. ご覧になった方も多いのではないだろうか. 

番組によると, 日本人女性の凡そ半数が冷えに悩んでいる.

その原因としては, 冷暖房の普及, 運動不足, ストレスなどが挙げられ, 我々の暮しには冷えを生み出す条件が揃っている訳である.

そして, 冷えが原因となって, 腰痛, 皮膚の痒み, 湿疹など, 様々な体調不良が惹き起された人の例を紹介していた.

処で, 東洋医学の権威の一人, 石原結実先生は, 体温が平熱より 1 度下がると 30% 強免疫力が低下し, 逆に 1 度上がると 5 - 6 倍も免疫力が上昇すると説いている. また, 野生動物の場合, 病気や怪我をすると 「食事をしない」 か 「発熱」 かで病気を治すのだそうである。

一方, 愛知医大の伊藤要子助教授は, 生体に熱が加わると, 60 兆個の細胞の中に HSP (Heat Shock Protein = 熱ショック蛋白) が産生され, この HSP は, 細胞内の古くなった蛋白質を破壊処理し, 傷付いた蛋白質を修復し, また新しく蛋白質を合成して, それぞれの細胞そのものを強靭にし, その総和である人間の健康度を向上させると説いている.

人間の体温は, 通常, 36 - 37 度に保たれているが、この温度の時, 人間の体内にある種々の酵素が最も活発に活動できるのだそうである.

体温が下れば, 当然 HSP の産生も衰えるので、免疫力が低下してしまうのだ.

番組では, 長時間緊張状態にいる事で, 交感神経と副交感神経の切り替えが上手く行かなくなり, 結果として血行不良に陥り, 体が冷えてしまうとも言っていた.

風邪は万病の元とはよく言われる事であるが、現代の超ストレス社会においては 「冷えは万病の元」 と言っても過言ではないとの印象を受けた.

冷えの対策として, 一つは血流改善作用のある生姜を食生活に積極的に取り入れる事, また, 運動不足にならない様に普段から心掛ける事が大切だと言っていた.

筋肉は熱を溜め込んだり、体内の熱を維持する力がある.

筋肉量が低下すれば, 当然体内温度も低下する. また体を動かす事によっても, 体温を高める事に繋がる. 運動は, 人間の健康維持には欠かせないものなのである.

野生動物に鑑みても, 「腹八分目」 で運動などで 「身体を温める」 事が病気の予防や治療の促進に繋がる事が判る.

勿論, 鍼や灸でツボを刺激して冷え対策を講ずることも可能である. 極く一般的なツボとしては 「三陰交」 「太谿」 「腎兪」 などが挙げられる.
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はり・きゅう・マッサージ トミイ
http://www.ne.jp/asahi/shinqma/tommy/index.html
(なお, 診療予約時、「健康小話」 を読んだ, と言って戴いた患者さんは,
初診料が半額になります.)

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