ホメオパシーとは何か? - Part 12010/02/15 21:22

『いよいよ 2010 年 さあ, こんな世の中にしよう - 超革命的 5 次元生活のすすめ』 (中丸 薫 著、徳間書店) と言うタイトルの本がある. 私が興味を感じた部分を何回かに分けて紹介してみたい.

この本の第三章は, 日本におけるホメオパシー療法の権威の一人, 川島朗東京女子医科大学附属青山自然医療研究所クリニック所長がゲストとして招かれ, 中丸氏らと 「オステオパシ-」 の色々について対談している.

「ホメオパシー」 とは初めて耳にする方もおられるのではないかと思うが, 「同種療法」 と訳されるヨーロッパの伝統医療の一つだ.

250 年ほど昔, ドイツの医師ハーネマンによって体系化された 「超微量の法則」 に基づいている医療である.

或る症状を惹き起す物質は, その症状を取り除く事が出来ると考え, 当該物質を非常に薄めて毒性をなくす事で, 逆に, 残されている特有の情報が活力を与えるとされている.

ホメパシーは 「レメディー (療剤) 」 を用いるが, レメディーは, 地上の様々な物質から抽出した成分を, 水やアルコールなどで希釈と振盪 (よく振ること) を繰返して作る.

(例えば, 30C と称されるものは 100 倍希釈と振盪を 30 回繰返したものと言う事を意味する.)

それ故, 原成分はレメディー中に極めて微量な成分としてしか含まれない (事実上ゼロに近い) が, 希釈・振盪により, 希釈液のエネルギーに変化が生じて治療エネルギーを有する様になるとされている. (が、何故そうなるのかと言う原理原則については未だ解明されていない様である.)

さて, 第三章は 「自然界の精霊の働き? - ホメオパシーという現代科学を凌駕した世界」 と題されている.

以下、川島医師の発言を中心に, ホメ於パシーを初めとする 「統合医療」 ないしは 「代替医療」 に関するものを紹介したい.

免疫機能を正常に機能させるためには, 腸内の善玉菌がしっかり腸内で働いている事が大切だと言う.

(その意味では, 以前この欄でも取り上げたが, ヨーグルトは善玉菌を増やすのに極めて効果のある食材である.)

「ホメオパシーは自然治癒力を呼び覚ます最たる治療」 である, と川島医師は言っている.

更に 「もっと大切なのは, 今まで医療ではタブーとされて来た死, この死を如何捉えて, 自分が如何言う死に方をしたいのか, 如何言う最期を迎えたいのか, そう言うところまで総て入れた上で, 手段が西洋医学だろうが, 代替医療だろうが, 何でもいい. 結果的にその方が満足を得られる, 或いは気付きを得られる様な, そう言う医療が, 僕は統合医療だと思っている」 とも言っている.

また, 「冷えはすごく身体に悪い. 身体の冷えだけじゃなくて, 心の冷えも悪い」 との発言も見られる.

普通, 「冷え」 と言うと身体の冷えの事しか考えないが, 確かに 「心の冷え」 に気付く事は重要だと共感した. 言うまでも無く, 心と身体は一体になっていて, お互いに影響を及ぼしている.

例えば, 川島医師はこんな事も言っている.

「ここに来られる方々に, 特に乳癌の方に対して色んな話を伺って行きますと, 『ちょっと思い当たる節はないですか』」 と言うと, 必ずと言っていいぐらいメンタルな問題があるんです.

ですから, 若年者の癌と言うのは, 僕はもう精神, 心の病じゃないかと思うくらいの印象を持つほどなんです.

然も, 乳癌でも右に出来るものと左に出来るものでは少し違うんですね. 右に癌が発生した場合は, どうやら仕事に何か問題がある. 左の癌は家庭の中に何か問題がある」と.

「私は病気と言うのは, 自分の魂の願いとかと全部繋がっているものだと思うのです. 人間は, 7 年毎に全部細胞が入れ替わるんです. 心によって細胞の分裂の仕方も変わってくる」.

従って, 「その人の本当の間違いに気付かせてあげて, 宇宙の法則まで持って行ってあげられる人, それがヒーラーなのです」 とも言っている.

また, 「(西洋医学にも東洋医学にも) どちらも侮ってはいけないのですけれども, どうも医療者と言うのは偏るんですよね. 代替医療を受ける時に大切な点を 3 つ. 一つは, 代替医療者が, 何でも治る, もう総て自分の治療で治ると言ったら, それは危険です. 2 つ目は, 他の医療の事を否定する人. 西洋医学なんかダメだとか, 別の療法はダメだとか, そんな事はないのです. 3 つ目は, 代金が法外な価格だった場合に, 一寸踏み止まって戴きたい. (悪徳商法かも知れないから, と言う意味である.) 本当の意味でのヒーリングをやっている方々と言うのは, 今まで, 『あっ, 力があるな』と思った方は, 報酬を要求しない. でも, 良くなった方々は, 自然と報酬を置いていく. それが在るべき姿ですよね」 と言う発言があるが, これは, 私自身, 普段から考えていた事なので大いに共感を覚えた箇所である.

何も健康関連産業に限ったことではないが, 人の心の弱みに付け込んで法外な値段でモノを買わせようとする商売が後を絶たないが, “法外な価格” のモノは, 真に有益で, 世の中の為になるモノではない, と私は考えている. 若し, その様な価格でしか提供できないのであれば, それは真に必要なモノではないのである, と思う.

(Part 2 に続く)
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(なお, 診療予約時、「健康小話」 を読んだ, と言って戴いた患者さんは,
初診料が半額になります.)

ホメオパシーとは何か? - Part 22010/02/16 21:17

川島医師は言う.

「精神医学なんて一番根拠に乏しい医学です.」
「患者さんは西洋医学の最高の医療も, 代替医療も一緒に受けたい訳です.」
「医師は診療拒否は出来ない.」
「私は, 望む結果を得るためにはどんな手段も厭わないですよと言っています. ただ, 結果を得るために大事なのは, 私たちではなくてご自分なんだと言う事を申し上げたいのですね. そこが医療の本質なので, そこに気付かせてあげるかどうかと言うのが重要なポイントになる.」

また, 尿療法について, 次の様に考えているとの事である.

「(昔流行った, 自分の尿を飲む) 「尿療法」は非常にホメオパシー的なんです.
私は腎臓が専門で, 尿療法が流行った頃に, うちの当事の教授から, 『尿療法などと言うものがあるけれども, あんなものを飲んだからと言って, 何か有効なものが入るなんて言う事を言ってくれるなよ, お前』と言われたんです.
当然なんです. 一日に原尿と言うのが体の中で 150 L ぐらい作られています.
糸球体と言うのが濾過して 150 L 作るのですが, 尿細管と言う細い道を通ってくる間に, 99% 再吸収されて, 必要なものは体に戻るのです. 残りの 1% だけが出て来るので, 精々 1.5 L ぐらいなんです.
と言うことは, 本当に要らなくなったものしか出て来ないので, それを飲むと言う事は, そこに何か必要な成分が入っている訳ではないと言う事になります.
でも, 飲んで良くなると言うのは, 恐らく自分が排泄した尿の中に, 自分の体の情報が入っていて, それを飲む事で, 自分の体が悪いと言う事を気付かせてリセットする.
それが尿療法ではないかと考えられています.
とすれば, 同じ様に尿の中の情報を別のものに転写出来ればいい訳です.
波動転写装置なるものがありますけれども, それで尿の情報を水にそのまま転写して, その水を飲むのであれば, 尿を飲むという抵抗も無くなりますよね.
ですから, 私は波動の医学と言うのは, そんなに悪い事ではないのではないかと思っているのです.
ただ狂信的になり過ぎると危険です. 尿にも気付かせる情報が入っている筈なんです.
気付いて自分を正す事が多分出来るはずなんです. それで治って行くと考えます.
ホメオパシーも物質 (分子) が存在しないレベルまで薄めます. だから残るのはやはり情報のみです. その人の尿にある情報とレメディーの情報が一致すれば, 尿を飲まなくてもきっと治ってしまう.」

なお, 次の様な発言も興味深い点である.

「お医者さん任せの人はやめて下さい.」
「私がこの本『心もからだも「冷え」が万病のもと』を書くに至ったのは, 冷えと言う病態とは何だろうと考えるところから始まったのですが, 閉塞性動脈硬化症と言うご高齢者の動脈硬化が強くなって, 足の血管が凄く細くなってしまって, 足背動脉にふれていても触れる感覚がない.
一寸歩いただけで, 足が痛くなってしまうと言う病気があるのですね.
これは疎血になるからなんですけれども, 血の巡りが悪いところと言うのは, 物凄く冷たいんです.
でも, 西洋医学は, 血流が悪いから, 血流を何とか改善させようとはしますけれども, 温度には決して注目しません.
体質を考慮した治療と言うのは, 西洋医学に多分無いと考えてもいいと思います.」

何度もこの欄で繰返す事になるが, 東洋医学の基本的な考えは, 極論すれば, 「気の流れは, 血の流れを伴っており, 従って, (冷えやストレスなどで) 気の流れが停滞すると, 血流も停滞する. この血の流れの滞りが総ての病の原因となる」 と言う点にある.

そして, 鍼も灸も基本的には身体を温める事で血流改善を図ろうとするものなのである.

(Part - 3 に続く)
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霜原 酵位 (シモハラ コウイチ) 氏の治療について - Part 32010/02/17 22:01

さて, 『いよいよ2010 年 さあ, こんな世の中にしよう - 超革命的 5 次元生活のすすめ』 の第 5 章も, 鍼灸師である私には興味ある内容であるので, 紹介しておきたい.

第 5 章は, ウソばかりの健康法、まちがいだらけの現代医療に 「喝!」 を入れる異能の人 - 目からウロコの療法を本邦初公開!! [ゲスト 霜原 酵位 氏] と題されている.

霜原 酵位氏は, 「1941 年中国天津生まれ. 法政大学経営学部卒業. 会社員生活を経て, 天津陸軍病院の軍医だった外科医の父親が他界したのを切っ掛けに, 一念発起して医療専門学校で基礎を学び 1978 年, 見見桐 (ルルドウ) 治療院を開業. “患者さんが最高の先生. 常に患者さんと共に在る” がモットー.」 と本には紹介されている.

氏の治療のユニークさ (特徴) については, 以下の様な記述から推察されると思う.

「歯の詰め物 (金属), 缶ビールは勿論, 金属の薬缶, ミネラルウォーターなど, いいと言われている物が, 体に悪い」.

「天然にがりも体に悪い - 短期的効果はあっても続けると長期毒となって, 体のよどみ・ひずみに溜まってしまう! 」

「毒には有機と無機があって, 基本的に無機で土台を壊すのです. 例えば今言ったミネラルは歪みに溜まります. そうすると, 体の中で溜まったところの細胞とか, 色々組織がありますよね. 塵が溜まる訳ですから. そこに有機の毒が作用するのです」.

「海も良く見たら, 牡蠣とか海洋生物が多くいるのは, 山林があるところの下の海です. そう言うところに牡蠣とか海産物がよくできますよね. 山を削ってしまったら, もう海は死んでしまう. 山のミネラルと海のミネラルのバランスのいいところに牡蠣やその魚介類が多くいる」.

「塩が悪いんじゃなくて, 塩の中のにがりとか, ミネラルが悪いのです. そのミネラルも, 有機のミネラルなら入ったらいいんですけれども, 無機のミネラルが悪いのですね」.

「無機のミネラルと言うのは, 体に入ると, 何処でもくっ付いてしまう. 反応スピードが速い. 有機のミネラルが血管に入りますね. 有機と言うことは, 植物ですから, 有機の薄い膜でコーティングされている. 膜のクッションがあるから, これが血管の中に入って行ってもくっ付かないでしょう. それで体の中にずっと入って行って, 柔かいですから, 歯とか骨のところとか大切な処に行って, そこで弾けるんです. だから骨になったり, 歯になったりする. 処が無機のミネラルは, そう言うコーティングがないですから, 流れの澱んだところにどんどん取り付いて溜まって行く. だから無機は駄目ですよと言う事です」.

「当院の背骨の治療では, 流れを良くして内臓の質を高める」.

「健康な人の免疫が正常で最高なのです. 正常以上はありません. 健康な病人はいません」.

「自然に基礎をおいて, 自然現象から, そして生物の歴史的な流れから治療と言うものを考えて行くのが, 私のやり方なのです」.

「必要なミネラルの摂取は, やはり海藻, 植物や生物から戴くのが一番!」

「一番大切な事は, 人間を老化させない事です. 老化しなかった者が勝つのです」.

「でも 『筋力テスト』 は総てじゃないんです. 絶対でもない. 然し 『筋力テスト』 もクリア出来ないものは駄目なんですよと言っているのです」.

「筋力テストは, 19 世紀の中頃, 米国のグッドハート博士によって, 筋力テストとして広まり始めました. この方は, アプライドキネシオロジーの検査と診断を研究した方です. それを更に実用の段階まで大きく発展させたのが, 日本の大村恵昭博士です. 大村博士は米国で 「O Ring Test」 を使って特許を取られた方で, 筋力テストの発展の最大の功労者です. また大村博士は重金属の害に着目し, 重金属排出法を発見され, 今日の 「重金属の身体への負担」 を認知させた重要な功労者でもあります. 今も現役で頑張られております.

「因みに, 筋力テストとは人間の身体の微細ではあるけれど大切な生体電流, 若しくは, 生体磁気エネルギーの強弱の微妙な差を人間の筋力を使った調べるテスト法であると私は個人的に考えています. それと私が考える機能と器質との関係は, 『器質とは細胞が変異しているとか骨が折れている, 血液の異常等々形があり見えない物を言います』 が, 一方, 機能とは, 体の働きから説くやり方で, 目には見え難く説明し難い働きですが, 『器質と器質の間を取り持つ大切な働きで生命維持にはなくてはならないもの』 です」.

「精製されてない砂糖のミネラルは有機だから, 極端に摂り過ぎなければ問題ないでしょう. でも, 一番良いのは果糖です!」

「人類は塩素で滅びる? 塩素で弱った細胞にインフルエンザが憑くのです」.

「肉が悪いのじゃない!  体の中で肉の脂にミネラルがへばり付くのが悪いのです!」

「赤ん坊は母親を治さないと治らない! 共鳴現象 (レゾナンス) と言う事もある!!」

「病気と言うのは, 自分の生活が悪くてなるものが多いのです」.

因みに, 施術内容として, ルルドウ療法, 指圧, 整体, ソフトカイロプラクティック, 接骨, ローリングテストとなっているが, 具体的に, 霜原先生がどんな治療を行っているのか, 私には詳細は判らない (特にルルドウ療法). けれども, 既存の概念や常識に捉われず, 幅広く柔軟な治療を行っている様である.
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「神様のカルテ」 (夏川 草介 著、小学館) を読んで - Part 12010/02/20 21:09

著者は 1978 年生まれで, 信州大学医学部を卒業後, 長野県の病院にて地域医療に従事している. デビュー作の本作で第 10 回小学館文庫小説賞を受賞している.

この本は著者の地域医療の経験を踏まえて書かれたものと思われるが, 地域医療の現場がどんなものかよく判る小説である. ユーモアとウェットに富んでおり, 気軽に読めて, 然も, 人生の終末期を如何に生きるべきか, と言う重い課題についても考えさせてくれる.

胆嚢癌で入院して来た患者の安曇さんは言う.

「人は生きていると, 前へ前へと言う気持ちばかり急いて, どんどん大切なものを置き去りにして行くものでしょう」

「先生, 私ずっと自分は不幸な身の上なんだって思っていたんです. 夫は 42 歳で脳溢血で急死しました. あれか3ら 30 年, 本当に寂しい思いばかりして来ました. 寂しい寂しいと思いながら, それでも訳も分らずここまで生きて来ました. 漸く寂しさに慣れたとおもったらこんな大病をし, 大学の先生には見捨てられてしまい, やっぱり孤独で…….それだけの人生でした. でも, 最後の最後にこんな幸せな時間が待っていたなんて, 本当に人生と言うものは判らないものです」

安曇さんはさらに言う.

「病むと言うことは, とても孤独な事です....病いの人にとって, 最も辛い事は孤独である事です. 先生はその孤独を私から取り除いてくださいました. たとえ病気は治らなくても, 生きている事が楽しいと思えることが沢山あるのだと, 教えてくださいました....私は先生のお蔭でこんなにも楽しい時間を過せました」

安曇さんは最後の最後に主人公の若い栗原医師に入院先で出会ったことで, 人生の安寧を得ることが出来たのである.

(Part 2 に続く)
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「神様のカルテ」 (夏川 草介 著、小学館) を読んで - Part 22010/02/21 21:01

そして, 栗原医師は安曇さんが危篤状態に陥った時に反芻する.

“然し私はそれ以上の指示を出さなかった. このままで, と安曇さんが言ったような気がしたのだ. しばしば医療の現場では患者の家族が 「出来ることは総てやってくれ」 と言うことがある.
50 年前までの日本では日常の出来事であったし, その結果の如何に関らず, その時代はそれで良かった.
拙劣な医療レベルの時代であれば, それで良かった.
だが, 今は違う. 死に行く人に, 可能な医療行為を総て行う, と言うことが何を意味するのか, 人はもう少し真剣に考えねばならぬ.
「総てやってくれ」 と泣きながら叫ぶことが美徳だなどと言う考えは, いい加減捨てねばならぬ.
助かる可能性があるなら, 家族の意思など関係なく最初から医者は全力で治療する.
問題となるのは, 助からぬ人, つまりは寝たきりの高齢者や癌末期患者に行う医療である.
つまりは安曇さんの様な人に行う治療である....これらの行為の結果, 心臓が動いている期間が数日延びることはあるかもしれない.
だが, それが本当に “生きる” と言うことなのか?
孤独な病室で, 機械まみれで呼吸を続けると言うことは悲惨である.
今の超高度な医療レベルの世界では容易にそれが起り得るのである. 命の意味を考えもせず, ただ感情的に 「総ての治療を」 と叫ぶのはエゴである.
そう叫ぶ心に同情の余地はある. 然しエゴなのである.
患者本人の意思など存在せず, ただ家族や医療者たちの勝手なエゴだけが存在する.
誰もがこのエゴを持っている.”

著者は 「出来る治療は総てやってくれ」 と言う家族らの当然とも言える願いを必ずしも否定している訳ではない.

人それぞれによって固有の事情があるであろう.

ただ, 真の意味で 「生き切る」 とは如何言うことなのか, 考えてみる必要があるのではないか, と読者に問い掛けているのである.

あなたなら如何対応するのだろうか? 

人の 「寿命」 とは, 天の采配によって決められているものの様に, 私には思えるのである.

寝転がって気軽に読める小説なので, 是非, 一読をお薦めしたい本である. 読み様によっては, 現代版「赤ひげ診療譚」 (山本周五郎著) としても愉しむ事が出来る.
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