貝原 益軒の 『養生訓』 を読む (6)2010/03/18 21:34

聖人は未病を治すとは, 病いまだ起らざる時, かねて慎めば病なく, もし飲食色慾などの内慾を堪えず, 風寒暑湿の外邪をふせがざれば, そ侵すことは少しなれども, 後に病をなす事は大にして久し. 内慾と外邪を慎まざるによりて, 大病となりて, 思ひの外に深き憂ひに沈み, 久しく苦しむは, 病の習いなり. 病を受くれば, 病苦のみならず, 痛き針にて身を刺し, 熱き灸にて身を焼き, 苦き薬にて身を責め, 食ひたき物を食はず, 飲みたき物を飲まずして, 身を苦しめ, 心を痛ましむ. 病なき時, かねて養生よくすれば病起らずして, 目に見えぬ大なる幸ひとなる. 孫子が曰, よく兵を用る者は赫々 (カク(カクカク) の功なし. 云意 (イウトコロ) は, 兵を用る上手は, 現れたる手柄なし. いかんとなれば, 兵の興らぬ先に戦はずして勝てばなり. 又曰, 古之善勝者勝於易勝者也 (イニシエノヨクカツハ カチヤスキニカツナリ). 養生の道も亦かくの如くすべし. 心の内, 僅かに一念の上に力を用ひて, 病の未だおこらざる時, 勝ち易き慾に勝てば病おこらず. 良将の戦はずして勝ち易きに勝が如し. 是上策なり. 是未病を治するの道なり. (巻第一 36).

戦に優れた名将は, 戦わずして勝つものだ. これと同じで, 聖人と称されるほどの人は, 養生の道を踏み外さない, 即ち, 病気になる前に身を慎んで健康の維持向上に努めている人である, と説いている.

これはまさに東洋医学の真髄である「未病を治す」と言うことそのものである. そうは言っても、一般の人には養生の道を守っていく事が出来ず, 病気になって初めて健康の有難さを知るのである.
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はり・きゅう・マッサージ トミイ
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