貝原 益軒の 『養生訓』 を読む (12)2010/06/19 20:58

ひとり家に居て, 閑 (シズカ) に日を送り, 古書を読み, 古人の詩歌を吟じ, 香を焚き, 古法帖 (コホウジョウ) を玩 (アジワ) ひ, 山水をのぞみ, 月花をめで, 草木を愛し, 四時の好景を玩ひ, 酒を微酔にのみ, 園菜を煮るも, 皆是心を楽ましめ, 気を養ふ助なり. 貧賎の人も此楽つねに得やすし. もしよく此楽をしれらば, 富貴にして楽を知らざる人にまさるべし. (巻第二 21)

古法帖とは, 古い名人の筆跡を写した折本を指す.

心の楽しみは, たとえ, 暮しが貧しくとも, その気になれば何時でも可能な事である. この心の楽しみを知っている人は, 恵まれた豊かな暮しをしてはいても, 心の楽しみを知らない人に勝っている, と益軒は説いている.

この項は, 米国の作家・思想家である Henry David Thoreau (1817 - 1862) の 『Walden: or, the Life in the Wood』 (『ウォールデン - 森の生活』 として講談社文庫他の訳本が出ている) を想起させる.

Simple is best! と言う言葉もあるが, 現代に生きる我々の, ややもすると物質至上主義で, 奢侈に溺れ勝ちの生き方に反省を促していると思うのである.

幸い, バブル崩壊後, 自然環境に優しい 「エコライフ」 が見直されて来ているのは, 当然と言えば当然の事であるが, 各人の 「心の楽しみ」 を見付けて欲しいものである.
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