動脈硬化と骨粗鬆症2010/07/03 20:49

7/2 付日経夕刊に次の様な記事が載っていた.

大阪大学の中神啓徳教授と森下竜一教授らは, 閉経後の高齢女性に多い骨粗鬆症と動脈硬化現象の一つである血管の 「石灰化」 が, 同一の蛋白質によって起ることを細胞や動物を使った実験で突き止めた.

この蛋白質を抑える骨粗鬆症の薬が石灰化の予防や治療にも役立つ可能性があるという. 成果は米心臓病学会の専門誌 (電子版) に 2 日掲載された.

実験で突き止めたのは 「RANK L」 と言う蛋白質で, 骨を壊す細胞の働きを活性化させる. 骨粗鬆症は, 女性ホルモンのエストロゲンが閉経によって減った高齢女性に多い.

エストロゲンは RANK L の働きを抑えているが, 量が減ると抑えきれなくなる. 研究チームは, 骨粗勝症の治療法として知られるエストロゲン補充療法を閉経女性に実施すると, 動脈硬化現象の一つで血管が硬くなる石灰化が減ることに着目. RANK L が石灰化にも関係しているか調べた.

ヒトの血管細胞に RANK L を加えると, 石灰化が進行. エストロゲンで RANK L の働きを抑えると, 石灰化も止まった. 骨粗鬆症と石灰化をともに起すマウスにエストロゲンを補ったところ, 症状を改善できた.

女性ホルモンの代表エストロゲンと骨粗鬆症との関係は誰でも知っているとは思うが, 動脈硬化をも抑える働きを有しているとはなかなか興味深い事実である様に思う.

生活習慣病は, 糖尿病・脂質異常症・高血圧・高尿酸血症など, 生活習慣が発症原因に深く関与していると考えられている疾患の総称であるが, このような疾患と肥満を複合する状態を, 医学的にはメタボリックシンドロームと総称している.

癌, 脳血管疾患, 心臓病の 3 大死因も生活習慣との関わりが強いとされており, 肥満はこれらの疾患になるリスクを高めているが, バランスの取れた食生活と適度な運動とにより, 肥満を予防し, 生活習慣病に陥る事を避ける事が, 高齢期の QOL (生活の質) を高める鉄則である事が裏付けられたとも言える記事であると思うのである.
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はり・きゅう・マッサージ トミイ
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