あなたは大丈夫? 誰しも避けては通れない 「認知症」!2010/07/05 20:38

群馬大学医学部保健学科の山口晴保教授と言えば, アルツハイマー病の神経病理学やリハビリテーション医学の第一人者の一人で, 日本認知症学会の副理事長でもある.

山口晴保編著 「認知症の正しい理解と包括的医療・ケアのポイント」 (第 2 巻) (協同医書出版社) によると, 見逃してはならない認知症の予兆として, 次の様な項目を挙げている.

A.)
・ 同じ事を何回も話したり, 尋ねたりする.
・ 置き忘れやしまい忘れがしばしばある.

B)
・ 出来事の前後関係が判らなくなった.
・ 服装などの身の回りに無頓着になった.

C)
・ 水道栓やドアを閉め忘れたり, 後片付けがきちんとできなくなった.
・ 同時に 2 つの作業を行なうと, 1 つを忘れる. 
・ 薬を管理してきちんと内服する事が出来なくなった.
・ 以前はテキパキ出来た家事や作業に手間取る様になった.
・ 計画を立てられなくなった.
・ 複雑な話を理解出来ない.

D)
・ 興味が薄れ, 意欲がなくなり, 趣味活動などを止めてしまった.
・ 前よりも怒りっぽくなったり, 疑い深くなった.
・ 大切なものを盗まれたと言う.

全体で 5 つ以上, 若しくは, A - D の 3 つ以上の領域にまたがって該当項目がある場合, 認知症が強く疑われると言う事である.

最近では 「軽度認知障害 (MCI = Mild Cognitive Impairment)」 と言う概念が取り上げられる様になって来ている.

認知症とまでは言えないが, 記憶機能などが同年齢の平均より一定レベル低下している状態を指す.

換言すれば, 生理的老化現象と認知症の中間とも言える. 自分で普通の人より記憶力が劣っていることは自覚しており, 周囲もそれを判っているものの, 日常生活には支障がない.

然し, この軽度認知障害のその後の経緯を辿ると, 半数以上はアルツハイマー型ほかの認知症に移行すると言われている.

現在ではこの軽度認知障害が重視され, その段階から早期に治療を開始する事で認知症の発症・進行を遅らせる事が可能になるとの考え方が主流になりつつある.

認知症にも 「早期発見, 早期治療」 の大原則が適用できるのである.

「老老介護」 と言う言葉が聞かれるようになって久しい時間が経った. これは言うまでもなく, 自分の親を老齢期に入った子どもが介護することを意味している.

処が, .最近は 「認認介護」 と言う言葉さえ決して珍しいことではなくなっている様である. 認知症になった親を、同じく認知症に罹ってしまった子どもが介護せざるを得ない実態を指している.

今年の 4 月で, 「介護保険制度」 が施行されて 10 年が経ったが, 我々が安心して高齢期を迎えるには, まだまだ多くの問題を抱えている制度であると言わざるを得ない.

悪評の高かった 「後期高齢者医療制度」 もその改善の方向が未だに曖昧模糊としたままである.

然し, 今後, 社会は益々高齢化を遂げて行くのは目に見えており, 早急に解決が図られねばならない課題であると言えよう.
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はり・きゅう・マッサージ トミイ
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