日本の誇る女性理論物理学者・米沢富美子さん2010/07/25 03:05

慶應義塾大学名誉教授であり, 日本の女性化学者の草分けとも言える理論物理学者・米沢富美子さんをご存知の方は多いに違いない.

アモルファス研究の第一人者として国際的にも知られている, 日本を代表する研究者の一人である.

栴檀は二葉より芳しい, と言うが, 小学校の卒業時には, 成績優秀につき大阪府知事賞を受けるなど, 幼少の頃からその才能には注目されていた様だ.

1984 年, 第 4 回猿橋賞, 1989 年科学技術庁長官賞, 2005 年にはロレアル-ユネスコ女性科学賞他, 多くの受賞を受けるなど, 研究者としての経歴も輝かしいが, 京都大学大学院理学研究科物理学専攻修士課程 1 年の時, 2 年先輩で同大学経済学部を卒業し, 山一証券に勤務していた米沢氏と結婚し, 三人の娘を育ててもいる.

また, 「人生は夢へのチャレンジ」 「科学の世界にあそぶ」 「2 人で紡いだ物語」 「猿橋勝子という生き方」 など、著書の数は数え切れない程だ.

この様に輝かしい経歴を持つ米沢さんだが, 1983 年, 84 年と 2 度に亘って乳癌の手術を受けている. 

この時の体験を踏まえて, 米沢さんは 「『医は算術』 であれ」 と題して, 次の様なエッセイを書いている.

“相手の気持ちやバックグラウンドを知って接するのはビジネスの基本です. 医療の世界ではこれが欠けているようです.

(中略)

科学の世界では多様な見方をする事は非常に大切です.

コップでも上からと横からとでは異なった形で見えるのと同じ様に, 一つのものでも角度によって見え方が違います.

人との接し方でも, 患者や介護を受ける人の目も加えて下さい. マニュアル化された紋切り型の対応は如何かと思います.

(医療従事者には, 患者は庇護すべき可哀想な人と言う考えが強いが) そうした見方は患者を従属的な存在に置き, 所謂, 医療のパターナリズム (父権主義) に繋がります.

「ちゃんと治療しているのだから言う事を聞け」 と言うのでしょう. これでは知ら識らずの内に患者と医師の間に上下関係を生みます.

独立した人間として患者を扱う配慮が大切ですね.

(中略)

人の気持ちが解る医師を育てて欲しいと思いましたね. 言葉一つで, 患者の悩みはぐんと少なくなるのです.”

かつて, この欄で 「患者様か患者さんか」 と題して, 医師と患者との関係について私見を述べた事があるが, 医療に携わる者の一人として, 常にこうした意見を貴重なものとして, 大事にしていかなければいけないと思うのである.

医療こそ, まさに人間そのものを相手にした仕事なのであるから.
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