乗り物酔いには 「ツボ療法」 を2010/08/31 03:00

私の患者さん一人が, 「乗り物酔い」 にも困っている事を最近知った. 結構, 乗り物酔いに悩んでいる方が少なくない様なのである.

人によっては, 乗り物酔いに, 所謂, 「ツボ療法」 がとても効果がある場合が多いので, 以下に紹介しておく事にしたい.

乗り物酔いとは, 車や船に乗って移動中に不快感, 冷や汗, 悪心, 嘔吐と言った症状が起る事を言う. これは, 乗り物に乗った時の見え方と乗る前の静止している時の見え方が大きく異なるために, 感覚が混乱して生じると考えられている.

乗り物酔いは, 人類が自分の脚で歩かずに移動する方法を見つけた時から存在したと言われている. 江戸時代には, 駕籠に乗った人が気持悪くなる 「駕籠酔い」 の話が出てくるし, 欧米には 「馬車酔い」, タイには 「象酔い」 と言う言葉もあるらしい. 

また, 宇宙飛行士の間では, 無重力による視覚と内耳の感覚のズレが原因と言われている 「宇宙酔い」 と言う言葉もある.

乗り物酔いになるには 3 段階があると言う (東京厚生年金病院耳鼻咽喉科 石井 正則部長).

人は, 身体を動かした時の状況を目 (視覚) で確認する事に加えて, 内耳と言う耳の奥にある器官でも情報を捉えている. 普段は, その両者の情報が一致しているが, 車に乗っている時, カーブを曲ったり, 急停車したりすると, 目では確認出来ていない筈の力が内耳に加えられる.

こうして, 脳に感覚のズレが生じるのが第 1 段階.

脳にとっては, この理不尽とも言える状態に不安を感じると, 大脳の一部が危険信号を発して自律神経が不安定になる. これが第 2 段階.

その結果, 額に脂汗を掻いたり, 頭重感を覚えたり, 生唾が出たり, 嘔吐感, 喉の違和感などの症状が出る. こうした症状が更に不安感を増して悪循環を起すようになり, 遂には, 胃腸が急激な収縮を起して嘔吐に至る. これが第 3 段階である.

乗り物酔いを予防するためには, 上記の, 第 1, 第 2 段階で上手く対処する事が大切. 具体的には, 車の前の方の座席に座り, 進行方向を見る. こうすれば, 車の進行に合わせて情報が入るのでズレが解消し易い. 一方, 本を読んだり携帯メールなどをしているとズレが大きくなり酔い易くなるので禁物である.

また, 頭をヘッドレストなどに固定して, 少しでも頭が揺れない様にすると酔い難いとも言われている.

さて, 乗り物酔いを防ぐ 「ツボ療法」 もある.

もし, 乗り物に乗っていて不安な感じがして来たら, 両目を閉じて, 手首の手の平側で, 手首の横皺 (横紋) から指の幅 3 本 (人差し指, 中指, 薬指) 分 (または親指 2 本分) 肘の方に上がった中央部 (このツボを 「内関」 と言う) に親指の腹を充て, 他の指は裏側に添えて, 親指で 9 回軽く小刻みに圧し, 10 回目に強く深く, 5 秒ほど圧し込む (9 軽 1 重). これを 3 セット繰返す. これを左右交互に繰返すのである.

更に, お臍の親指の幅分上の部分のツボを 「水分」 と言うが, これも 「内関」 と同じ様に, "9 軽 1 重" で刺激を加えてやると尚良いだろう.

仕上げは, 頭の天辺, 両耳の一番高いところを上で結んだ線と, 正中線 (身体の中心線) との交点 (指で圧すと凹みが出来て, 最も響く処) を 「百会」 と呼ぶが, ここに利き手の指先を熊手の様に曲げ, 中指を充て, その上にもう一方の手を被せて口を閉じ, 両手でグッと圧してやるのである. この 「百会」 のツボも "9 軽 1 重" で刺激を加える.

普段からこれらのツボ圧しをすると, 乗り物酔いに弱かった体質が徐々に変って行くと思う. 乗り物に酔い易い体質の方は, 是非, お試しあれ.
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はり・きゅう・マッサージ トミイ
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