続・この頃世の中を騒がすもの2010/09/07 04:09

柳田 邦男さんというノンフィクション作家をご存知だと思う.

航空機事故や医療事故を始め, 幅広い分野で評論活動を展開している人である.

1995 年, 精神を病んだ次男が自殺する体験を綴った 「犠牲 (サクリファイス) わが息子・脳死の 11 日」 を発表し, 第 43 回菊池寛賞を受賞している.

それ以降, 精神論・終末医療などの著作が増え始め, その中で若者や若者文化 (ネット・ゲーム・携帯電話) への強い批判を表明し始めたが, 一方で, 大人も絵本を読もうとの啓蒙活動も展開している.

『大人が絵本に涙する時』 (平凡社) や 『みんな, 絵本から』 (講談社) などの著作もある.

最近は, どれだけ多くの母親や父親が, 自分の子どもに絵本を読み聞かせてやると言う習慣を持っているのだろうか? 

例えば, スーザン・バーレイ 著 (小川 仁央 訳) 『わすれられないおくりもの』 (評論社) と言う絵本がある.

何時もみんなから頼りにされている,主人公のアナグマがある時亡くなってしまうのだが, 多くの動物たちが哀しみの中にも, 困っている時に助けて貰ったことや, 何でも知っている事は教えて貰ったことなど, アナグマが沢山の贈り物をしてくれていた事に気付くお話である.

この絵本は, 自分にとって大切な存在だった相手が亡くなってしまった後も, その温かい思い遣りや行為は何時までも想い出となって周りの人々の心に遺される, と言う事を再認識させてくれるのである.

幼いうちから, この様な情操を養ってあげる事はとても大切な事だと思うのだが, 柳田 邦男氏が絵本を読もうと言う運動を展開しているのも, この様な視点からなのかもしれない.

何時ぞや、父の葬儀で, 住職さんが「懸けた情けは水に流し, 受けた恩は石に刻め!」 と言う主旨の法話をしてくれた事は, 過日, 本欄で紹介した..

この様な法話をされると言う事は, 世の中の現状は 「反対」 になっているからなのであろう.

詰り, 「懸けた情けを石に刻み, 受けた恩は水に流して」 仕舞っている人が多いと言うことなのである.

それ故, 要らぬ軋轢を生んだり, 自分が心に鬱屈やストレスを抱え込んだりしているのだ.

我々は, 死んで何を残せるのか? また, 何を残すべきなのか?

せめて, 自分が死んだ後は, 遺された人の胸に, 心温まる様な想い出を幾つ遺す事が出来るか, 心掛けねばならない様に思うのである.
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はり・きゅう・マッサージ トミイ
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