癌生存者の睡眠障害とヨガ2010/12/03 02:34

6 月に開かれた, 米国臨床腫瘍学会 (ASCO) の年次総会で 「癌治療を終えた患者が 1 ヶ月間のヨガプログラムに参加する事で, 生活の質 (QOL) の向上, 睡眠の改善, 疲労感の軽減および睡眠導入剤の使用量減少に効果を認めた」 と発表されたとの事.

癌患者の約 80% は, 治療中の睡眠障害に悩まされており, 約 2/3 は治療終了後も, 障害が続くが, これまでの処, その解決法は殆ど存在しないとされている.

米ロチェスター大学メディカルセンター (ニューヨーク) 助教授 Karen Mustian 氏によると, 今回の研究では穏やかなハタ (Hatha) ヨガおよびリストラブ (Restorative, 回復) ヨガの要素を取り入れ, クラスでは座位, 立位, 姿勢の移行および背臥位のほか, プラナヤーマと呼ばれる呼吸法を含めた内容を実施. 胸ではなく横隔膜を使う呼吸法, ビジュアライゼーション (視覚化), 集中, 瞑想に重きが置かれた.

今回の研究は, 2 - 24 カ月の治療を終了し, その後も平均以上の睡眠障害を訴えている患者 410 人 (平均 54 歳) を対象としたもの.

ほぼ全例が女性, 3/4 が無転移乳癌患者で, 過去 3 カ月以内にヨガの経験のある人はいなかった. 被験者を, 標準的な追加治療を定期的に受ける群と, それに加えて 75 分のヨガセッションを週 2 回, 4 週間受ける群とに無作為に割り付けた.

その結果, 睡眠の質が改善したと報告したのはヨガ群では 22%, 対照群では 12% であった.

臨床的に睡眠障害のみられた患者では, ヨガ群の 31% に回復がみられたのに対し, 対照群では 16% であった.

疲労感はヨガ群で 42%, 対照群では 12% 減少し, 昼間の眠気はヨガ群で 20%, 対照群では 5% の減少を認めた.

ヨガ群には平均 6% の生活の質の改善がみられたが, 対照群には改善がみられなかった.

また, ヨガ群では睡眠導入薬の使用量が減少したが, 対照群では逆に増加した.

「ハタヨガおよびリストラティブヨガの様な穏やかなヨガは, 癌治療後の患者にとって, 生活の質を損なう副作用を軽減するのに有用であると思われる. 現時点では, ホットヨガやさらに厳格なヨガなどの別の種類のヨガについては, 有効性や安全性は判っていない」 と Mustian 氏は述べている.

以上の報告から判るのは, 心の作用が肉体的な障害や苦痛と言ったものに大きな影響を与えていると言う事実である.

東洋医学では, 総ての病は気の病であるとの考え方に則っている.

QOL の向上を目指して, 気を整えるべく, 東洋医学をもっと活用してみては如何だろうか.

因みに, 癌患者の終末期医療における痛みの緩和に鍼を併用する医師が増えて来ているのは, 皆さんご存知の事と思う.
-----------------------------------------------------------
はり・きゅう・マッサージ トミイ
http://www.ne.jp/asahi/shinqma/tommy/index.html
(なお, 診療予約時、「健康小話」 を読んだ, と言って戴いた患者さんは,
初診料が半額になります.)
心や身体に関する悩み事など, お気軽にご相談下さい.
E-Mail : tadashi.fukutomi@tcat.ne.jp
English speaking clients are welcomed!
Oil massage is available!