看護師の対応2011/03/08 02:27

脚本家の内館牧子さんが 2, 3 日前, 「看護師の対応」 と題し, 次の様なエッセイを日経夕刊に寄稿していた. 以下に引用させて戴く.

"読売新聞の読者投稿欄に, 次のような話が掲載されていた (2 月 7 日付).

投稿者の父親が病院で亡くなり, 臨終から 5 分と経たないうちに, 看護師が「葬儀業者の手配はどうされますか」と聞いたという.

臨終から 5 分なら, まだ体も温かいであろうし, 家族も動揺の最中であるはずだ.

ところが看護師はさらに, 遺体は 9 時間以内に引き取るようにと告げ, 病院指定の葬儀業者ならもう少し長く預かってもいいと言ったそうだ.

読後ほどなく, 女友達が涙ぐんで私に言った.

彼女の母親は高齢と病気のために体が動かず, 長期入院中だ.

ある日, 年配の看護師が母親の体を抱いて移動させ, 「あーあ, こんなになってまで生きていたくはないわねえ」 と笑ったという.

女友達は病室の外で, 彼女を叱ったそうだ. 「耳は聴こえてるんです. 看護師の仕事は大変でしょうが, 言葉を慎んで下さい」

先の投稿者も看護師の仕事に理解を示しつつも 「自分が同じような対応をされた時を考えてほしい」 と結んでいる.

私は 2008 年末に旅先の岩手県盛岡市で倒れ, 岩手医大付属病院に 3 カ月間入院した.

快癒した理由は数々あるが, 看護師の力はもう言葉にできないほど大きかった.

それまで病気と無縁だった私は, 看護師の心遣いや対応にどれほど力を貰ったか解らない.

ただ, 確かに大変な激務であり, 重責を担う. 投稿者や女友達の例の如き看護師が出てくるのは, ストレスで思考が停止しているのかもしれない.

病気をすると解る. 「白衣の天使」 などと口先で讃えるのではなく, 増員や待遇で讃えることを真剣に考えるべきだと."

内館さんは, なかなかに重い内容の問題提起をしておられると思う.

毎夜, 救急車のサイレン音を耳にしない日はない. どれほど医療現場は忙しい事か, この一事を以ってしても推し量る事が出来る.

また, 体調を崩し, 仕事を休んで, 外来に行っても, 長い時間待たされた挙句, 診察は精々 5 分程度で, 後は処方された薬を貰うだけ, と言った事は誰しも経験している.

それでも, 未だ, 受付で優しく笑顔で対応して貰えると気持ちがホッとするものだ.

私も医療に携わる者の端くれとして, 対応には充分気を付けている心算ではあるが, それでも, 配慮が至らず, 心ならずも, 患者さんの気持ちを害してしまう事もあったに違いない.

仕事は何でもそうだが, 「忙しい」 と言う事は言い訳になどならない.

初心忘るべからず, とは世阿弥の言葉であるが, 鍼 1 本打つにも, 灸 1 つ据えるにも, 「こころ」 を込めて施術を行う事の大切さを忘れない様にせねば, と改めて自戒させられたのである.

なお, 本件に関して, 興味ある方は, このブログのバックナンバー 「灸は身を焼くにあらず 心に燈を點すものなり」 や 『「患者様」 か 「患者さん」 か』 なども参照して戴き, ご意見をお聞かせ戴けると幸いである.

Have a nice day!
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はり・きゅう・マッサージ トミイ
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