福島原発から遠くに退避したいときの考え方2011/03/23 05:17

過日, 放射能汚染についての卓見を紹介したが, 筆者は, 藤林 徹さんと言って, 元東芝原子炉設計部長であった人である.

彼のレポートが, 表題の通り Google に掲載されたので, 公開したい. 以下, 引用である.

福島原発事故について, 「正しい危機感」 をもって対処して欲しい.

東京の人が原発からさらに遠方に退避する必要はないと, 友人の皆様に説明しました.

その後, 多くの方から安心したとの連絡を受けましたが, 一方では, 悲観的な情報がネットに流れ, また米国人は 80 km より遠く退避するようにとの米国政府の推奨話もあり, 日本の行政機関の公表データは信用してよいのか, 健康上影響はないと言われても心配だから遠くに行きたいなどの反応もあります.

皆様の不安のお気持ちはよくわかります.

数字があってもそれを信用しなければ意味がありません. また, 自分で確かめないと納得できないでしょう.

幸いなことに, このところ, 多くの新聞の見出しはショッキングではありますが, 書かれている内容は非常に技術的に正確でまた有用なものが多くなりました.

それで, 自分が在住しているところの毎日のデータを基にして, 自分が日常生活でどの程度の放射線を受けているか計算してみましょう.

この後のデータは文部科学省がまとめた, 毎日の午前 9 時までの都道府県ごとの大気中放射線の値です.

これは全国紙に毎日, 前日の値が掲載されていると思います.

このような, 統計データは計算機処理して得られるため, 人為的な操作をすることが難しく, 内緒にしておきたいデータが外されることはまずありません. 信用して間違いありません.

また, ここでは, 茨城県と東京都にそれぞれ住んでいる方について分析してみます.

新聞に掲載されている県内の放射線の最大値 (場所ごとに違うのでその最大値を示している) は次のとおりです. (単位はマイクロシーベルト)

1 時間あたりの放射線の値 (最大値)

日にち 茨城 東京
16 日 1.035 0.143
17 日 0.232 0.053
18 日 0.203 0.050
19 日 0.183 0.043
20 日 0.166 0.046
平均 0.364 0.067

このまま続くとすると, 東京の人が 1 年間に受ける放射線の量は, 0.067 x 24 時間 x 365 日 = 587 マイクロシーベルト (0.587 ミリシーベルト) です.

一方, 茨城の人は, 3,189 マイクロシーベルト (3.189 ミリシーベルト) です.

17 日の朝日の朝刊に, 日本の一人あたりの年間放射線量は, 自然から 1.48 ミリシーベルトとありました.

東京の人が 3 月 16 日から 20 日までに受けたものと同じ量を 1 年間受け続けるとしても, その量は日本の自然からの放射線量の 1/3 です.これは低めですが, この 5 日間がたまたま低かったのかもしれません.

茨城の人は, 日本の自然からの放射線量の 2.15 倍ですが, 医療被曝などを加えた日本人一人あたりの放射線の量 (3.75 ミリシーベルト) よりは低い値です. それでも高めですが, 前に説明したように, この値は県内の最大値ですから, 平均値はこれよりも低いので, 安心してかまいません.

東京の人が, 原発から遠くに退避しても, 日本人の年間放射線量よりも受ける線量が低くなりません. 場所によっては高くなるかもしれません.

このように, 自分の住んでいる地域の実測値をもとに, 自分がどの程度の放射線を大気から受けているか, それが日本の一人あたりの年間放射線量と比べてどの程度なのかチェックしてください.

そうすれば, 自分自身で納得できると思います.

でも, 安全と安心は違います. 安全は技術的に解決できますが, 安心はそれに心の問題が加わります.

どうしても安心できないときは, 自分の心のままに従って, 自分を大事にしてください. (2011/03/21)

以上が, 藤林さんのレポートであるが, それでもなお, 政府の発表する数値に隠蔽はないか? と言う疑問を解消できない方もおられるだろう.

そう言う方は, 3 月 19 日の英国大使館の情報が参考になるだろう.

それによると, 日本政府や東京電力から開示される情報の信頼性についてどう考えるか? との質問に対し "日本政府の開示する情報は, 世界中の国際機関から監視されており, 例えば, 意図的に低い数値を報告したりすることは不可能である. よって開示されている情報には間違いはない", と断言している.

また, チェルノブイリでは多くの人が健康被害にあったが, 日本とは何が違うのか? との問いに対して, "問題は, チェルノブイリ事故以降に生じた. 詰り汚染された水や食物を多くの人が摂取したことによる", と答えている.

英語が苦にならない方は下記にアクセスして戴きたい. これもなかなか客観的なコメントとなっていると思われる.
http://ukinjapan.fco.gov.uk/en/news/?view=News&id=566811882

出席者は Sir John Beddington, UK Government Chief ScientificAdviser , Hilary Walker, Deputy Director Emergency Preparedness at the Department of Health Lesley Proctor, Health Protection Agency ほかである.

Have a nice day!
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http://www.ne.jp/asahi/shinqma/tommy/index.html
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