モノには須らく 「納期」 が必要2011/09/20 01:41

19 日付の日経朝刊に 「死刑執行をためらうのなら」 と題して, 以下の社説が載った. 以下, 引用.

存廃を含め, 死刑に対しては様々な意見や考え方がある.

だがそのことと, 法に定められた手続きにしたがって自らの職責を果たすこととは, また別の話であろう.

野田内閣で法相に就いた平岡秀夫氏は, 就任会見で, 死刑の執行について 「死刑制度は奥の深い問題. よく勉強し, 考えをまとめたい. 考えている間は判断できない」 と述べた.

執行は昨年 7 月が最後だ.

前任の江田五月氏も 「悩みながら勉強している. 悩んでいるときに執行とはならない」 として, 執行しなかった.

刑事訴訟法には 「判決確定から 6 カ月以内に法相が死刑執行を命じる」 とあるが, 実際の執行状況は自民党政権時代からまちまちだ.

「内心の問題」 で執行命令書への署名を拒んだ法相もいれば, 「法相に責任をかぶせず, 自動的に執行が進む方法を考えては」 と言った人もいる.

だが死刑は現に存在する制度だ.

厳罰化で死刑判決は増えた.

一方で執行は滞り, 未執行の死刑囚は過去最多の 120 人に上っている.

死刑判決を言い渡す裁判官や執行にあたる検事, 刑務官たちは, それぞれに精神的な重圧や葛藤を抱えながら, 制度を支えてきた.

それなのに, 制度のトップに立つ法相が 「考えている」 「悩んでいる」 というのでは, 釈然としない人も多かろう.

さらに裁判員制度の導入で, 死刑に市民が直接かかわるようになった.

EU 諸国など死刑がない国とは異なり, 「死刑判決は裁判員に大きな精神的負担を与える」 という懸念がある中, この制度は導入された.

市民に重い責任が課されたのに, 政治家は職責と向き合っていない, ととられかねないのではないか.

平岡法相はその後, 「死刑執行を停止するという趣旨ではない. 死刑制度そのものを幅広く勉強し, 結論を出したい」 として, 国民的議論が必要との立場を強調している.

千葉景子元法相が同省内に作った, 死刑を考える勉強会は, 意義付けが不明確で, 結論を出すかどうかも分からないまま, 5 人目の法相を迎えた.

死刑に疑念があり, 執行命令がためらわれるのであれば, 法相は制度を議論する枠組みを早急に国民に示すべきだ.

結論を出す時期を明示し, 本気で議論を進める覚悟がいる.

以上であるが, 読者の皆さんは如何お考えだろうか?

私は, 概ね, 社説の意見に賛成である.

また, 死刑執行に関る問題は, 昨今の政治状況を良く反映していると思うのである.

先ず, 平岡法相の 「死刑制度は奥の深い問題. よく勉強し, 考えをまとめたい.」, これは解る.

然し, 「考えている間は判断できない」, 或いは, 前任の江田法相の 「悩みながら勉強している. 悩んでいるときに執行とはならない」 と言う考えは如何だろうか?

死刑制度について, 議論を始めたら, 口論乙駁で, 直ぐに結論の出る問題とは思われない.

賛成論者, 反対論者, 議論は永遠に平行線を辿るに違いないのだ.

かと言って, 多数決で決めれば良い, と言う問題でもまたないのである.

現状, 「判決確定から 6 カ月以内に法相が死刑執行を命じる」 と刑事訴訟法に定められている以上, 法相はその職責を果さねばならない義務がある.

物事は総て, 「納期」 を, 詰り, 期限を切って進める事が重要なのだ.

普通, 世の中は, 「納期」 と言うものがはっきり決められているものだ. それでないと, 世の中廻らないのである.

「下手な考え休むに似たり」 と言う言葉もある.

一国の大臣にまで上り詰めるお方の考えがそうだ, などと申し上げる心算はない,

けれども, 千葉元法相が設置したと言う 「死刑を考える勉強会」 が未だに結論らしきものを見いだせていないのと同様の要素が, 背景に隠れているのではないか?

東日本大震災の復旧・復興計画が未だに実質的に動き出せていないのも, 原因は似ている.

菅サンは, 思い付いては様々な検討委員会を乱立させはしたが, それらの組織に対して, 自分の哲学と言うか, 大方針について, 何ら明示する事無く, 何事もただ 「丸投げ」 していたのである.

それで, 各委員会のメンバーは, どの様な目標に向って何を議論したらいいのか, 皆目分らず, 徒に時間だけが経過し, 困っていたと言う.

自公政権時代にも無かったとは言わないが, この様な事案が, 民主党政権には特に多過ぎる様に思うのである.

「納期」 が明確でないから, 普天間基地移転問題も, TPP 交渉も, 北朝鮮の拉致問題も, 総て, ダラダラと無駄な時間ばかり浪費しているのである.

勿論, 交渉事には相手がある訳で, こちらの思う通りには事が捗らないのは当然である.

然し, 或る 「目標」 に然るべき時間内に到達出来なかった場合は, その時点で, 新たな戦略のもとに, 新たな目標設定を行うべきなのだ.

それをやらないから, 総てが 「先送り, 先送り」 となって行くのである.

日本が海外諸国の素早い行動に就いて行けず, 遅れを取る様になって, 随分時間が経過している.

優先順位論から見て, 党内融和は本当に正しかったか?

鉢呂経産相が就任 9 日で辞任せざるを得なかったのは, その辺りに不安を感じさせるのである.

野田サンには真の意味で 「リーダーシップ」 を発揮し, 心底頑張って貰わねばならない.

残念ながら, 解散総選挙で国民に民意を問う時間的余裕はない様に思うからである.

Have a nice day!
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