健康小話

1971 年, 中国を訪れたﾆｭｰﾖｰｸﾀｲﾑｽﾞ記者団が, 鍼麻酔による手術についての報道を行った事から, 鍼治療に対する関心が一挙に高まったのは良く知られた出来事である.

今では, 鍼麻酔の効果は, 手の 「合谷 (手の甲側で, 母指と示指の中手骨の合する辺り)」 と言う経穴 (ﾂﾎﾞ) に刺した鍼に, 低周波通電を行うと, 脳を刺激し, 脳下垂体などで "内因性鎮痛物質 (ｴﾝﾄﾞﾙﾌｨﾝと呼ばれる脳内ﾓﾙﾋﾈ様物質)" を産生, 痛みを緩和させる事が明らかとなっている.

この様な機序が, 鍼麻酔での手術を可能にしているのである.

人間の体内には, 痛みを起こし, 様々な危険信号を発する "ﾌﾞﾗｼﾞｷﾆﾝ" を初めとする 「発痛物質」 と, これとは逆に, "ｴﾝﾄﾞﾙﾌｨﾝ", "ｴﾝｹﾌｧﾘﾝ", "ﾀﾞｲﾉﾙﾌｨﾝ", "ｾﾛﾄﾆﾝ" など, 痛みを抑える 「鎮痛物質」 とがある.

例えば, ｴﾝﾄﾞﾙﾌｨﾝにはﾓﾙﾋﾈ以上の鎮痛効果があるとも言われている.

鍼治療は, 鍼刺激が, 脳下垂体や副腎皮質などに伝達され, このｴﾝﾄﾞﾙﾌｨﾝなどの鎮痛物質を分泌させて痛みを緩和させると考えられている.

詰り, 鍼治療はこうした体内麻薬 (ｴﾝﾄﾞﾙﾌｨﾝ) を利用して痛みを抑えるのである.

然し, 鍼治療はどこに鍼を指しても効く訳ではなく, 手足の経穴 (ﾂﾎﾞ) でなければこの様な鎮痛効果は現れない.

体内の血液にも, このｴﾝﾄﾞﾙﾌｨﾝが存在しており, その濃度は何も刺激を受けない状態では, 10 pg/ml 以内が正常値である.

手の合谷に刺した鍼への低周波通電において, 通電前 5.6 pg/ml から, 鍼通電 30 分後には 13.6 pg/ml にｴﾝﾄﾞﾙﾌｨﾝ濃度が増加する, との実験報告がなされている.

ｴﾝﾄﾞﾙﾌｨﾝは, 血液中にも発現し, 全身に作用して鎮痛効果が現れるのである.

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はり・きゅう・ﾏｯｻｰｼﾞ トミイ
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