丸元 淑生 著 『おいしく治そう』 (文春文庫)2011/12/19 02:26

3 年程前に食道癌で亡くなった丸元 淑生は, 作家, と言うよりは, 寧ろ 「料理研究家」 と言った方が相応しいだろう.

何度か芥川賞の候補にもなっているから 「作家」 には違いないのだが, その著作の多くは, 食生活, 料理, 栄養, 健康などに関するもので占められている.

彼が最も活躍し, 精彩を放ったのは, 1980 年代後半から 1990 年代であるから, 些か時代遅れと思われる方も少なくないに違いない.

然し, 彼の思想の根幹をなすものは, "食生活こそ, 心身の健康を左右する", と言う点にある.

今, 流行の料理研究家の清水 信子さんや辰巳 芳子さんなどが, 最近の (特に, 若いカップルの) 家庭における食生活の在り方に警鐘を鳴らしている事は, かつて本ブログでも紹介している.

丸元 淑生は, 家庭料理に危機感を訴えた先駆者的存在で, 今, 彼の著作を読み返してみると, その内容が少しも古くない.

それどころか, 栄養と健康と言う視点から見た, 在るべき食生活についての指摘は, 昨今の食生活の乱れを見通していたとさえ言っても過言ではない.

例えば, 表題の 「おいしく治そう」 は, 週刊文春に連載されたもので, この本は, 「現代人の病気の多くは食事に原因がある」 との考えから "臨床栄養学" の重要性を説き, 自ら 「正分子医学会」 と言う, 栄養素を重視した新しい医学の研究を推進してきた米国のライナス・ポーリング博士との対話形式を取っている.

予め, 健康に関する悩みを読者から寄せて貰い, それを質問状として事前にポーリング博士に送っておき, 丸元 淑生が後日博士を訪問, 米国の 「正分子医学」 の権威者 7 人と議論を戦わせたものである.

例えば, 「よいストレス対応」 と言う項目では, 回答者の一人, John Downing, PhD は次の様な趣旨の回答を行っている.

ストレスが加わると身体はそれに応えてステロイド・ホルモンを分泌すべく, コレステロールを産生する.

その結果,コレステロール過剰となってしまう.

原始時代の人類であれば, 過酷な環境や野獣の攻撃に晒されていて, それへの対応をしなければならず, コレステロールが消費されるので過剰にならなかった.

然るに, 現代人のストレスの多くは, 即座に闘える性質のものではないため, ストレスコントロールが困難な状況にある.

そこで, ストレスへの対応を保留する傾向にあり, 結果として, フラストレーションと言う厄介な状況が生ずる.

このフラストレーションは副腎皮質ホルモンであるコーチゾンを過剰に分泌する. それはコレステロールの蓄積レベルを更に押し上げる.

これを栄養学的に解決するには, パントテン酸やビタミン C を補給してやると, 身体の修復作業が活性化される.

また, 昂ぶった神経を鎮静させる意味で, カモミールやキャットニップなどのハーブティーを採ると効果的である.

以上の様に, 疾患別に, 栄養学的に如何対応すべきか, 解り易く説いている.

丸元 淑生の著作には表題の本の他に, 代表的なものだけでも次のようなものがある.
・ 丸元淑生のシステム料理学 男と女のクッキング 8 章 (文春文庫)
・ いま、家庭料理をとりもどすには (中公文庫)
・ 丸元淑生のスーパーヘルス 老化を遅らせる食べ物と食事法 (新潮社)
・ 丸元淑生のクック・ブック (文春文庫)
・ 丸元淑生のシンプル料理 最新栄養学に基づいた健康人のクッキング (講談社)
・ 新家庭料理 正続 (中公文庫ビジュアル版)
・ たたかわないダイエット 正しく食べて、しっかり痩せよう (講談社 + α文庫)

因みに, 私は, 彼の本を読んで以来, 食事の基本形は丸元方式を採り入れているが, そのお蔭もあってか, これまでの処, 極めて健康である.

Have a nice day!
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