健康小話

昨日の日経朝刊によると, 国立循環器病研究ｾﾝﾀｰが, そのﾒｶﾆｽﾞﾑの解明に成功したとの事.

同ｾﾝﾀｰの発表によると, 心臓から分泌されるﾎﾙﾓﾝ 「心房性ﾅﾄﾘｳﾑ利尿ﾍﾟﾌﾟﾁﾄﾞ (ANP)」 が血管を保護し, 癌細胞が血管の隙間から侵入するのを妨げている事が別ったと言う.

ANP は心不全の治療に用いられているﾎﾙﾓﾝで, このﾎﾙﾓﾝを投与する事で, 他の臓器への癌転移を防ぐ治療法に応用できる可能性もあるとの事.

研究ﾁｰﾑでは, 遺伝子組み換え技術を使い, ANP と結合する蛋白質が血管に出来ないﾏｳｽを作り, 癌細胞を投与し 2 週間後の肺への転移具合をみると, 通常の約 3 倍に増え, 心臓にも転移していた.

逆に, 結合蛋白質が過剰にできるﾏｳｽは転移が約 15% に減っていた事を確認したと言う.

癌は様々な臓器に転移するが, 一般に心臓では起こらない.　ANP が血管を保護して癌細胞の通過を妨げていたと考えられる由.

動物実験では, 肺や乳, 大腸癌などで転移を防ぐ効果を確認した. 但し, 元々ある癌を小さくする作用はないという.

臨床応用では, 癌の摘出手術の際に投与する方法が考えられる様だ.

血管内の癌細胞は転移しなければ数日で死滅する. この期間を ANP で守れば, 転移を防げる可能性があるという.

なかなか期待できそうな結果と言える. 実用化されれば, 少なくとも転移癌による患者数の大幅削減に貢献できるであろう.

Have a nice day!
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