果実育ちの養殖魚2013/04/21 02:55

日経によると, かぼすブリ, みかん鯛...など, 柑橘類やハーブなどを食べて育つ養殖魚が続々市場に登場している様だ.

皮やジュースの搾りかすなどを餌として活用する事で, 魚の生臭さを抑えたり, 変色を遅らせたりする事が可能になり, これを地域の特産品として地域色を打ち出す事で, 養殖魚ならではの付加価値向上を目指す事も出来る様になったのだ.

以前, 本ブログでも紹介したが, 大分県漁業協同組合の 「かぼすブリ」 は, 特産であるカボスの果汁や果皮を混ぜた餌で育てた養殖魚である.

2011 年秋に出荷を開始. 12 年の秋から今春にかけての今シーズンの販売量は 280 トンと昨シーズンより 3 割増える見込みだと言う.

今シーズンは実験期間と位置付ける 3 年間の最終年で, 効率的な給餌の手法や回数を確立した.

ブリは身が変色し易いが, 大分県農林水産研究指導センターの実験では, カボスの抗酸化作用で, 処理から変色までの時間は 2 倍程度に延びたと言う.

従来の養殖ブリに比べサラリとした脂の乗りも特徴らしい.

脂の質の良さはブリの最高峰と言われる富山県氷見の寒ブリの様だと言う.

小売店での店頭価格は, 刺し身用の切り身が 100 グラム 450 円程度と一般的な養殖物より 5 - 6 割高いものの, 寿司チェーンや鮮魚専門店からの引き合いが増えている由.

また, 愛媛県宇和島市では, 今春, 地元特産品のミカンを混ぜた餌で育てた 「みかん鯛」 の出荷を開始したと言う.

昨年から 「みかんブリ」 も販売しており, 処理に困っていたジュースの搾りかすを有効活用できると言う利点もある様だ.

更に, 長崎県松浦市などが販売する 「長崎ハーブ鯖」 はナツメグなど数種のハーブを混ぜた餌を 1 年以上与えた養殖鯖が出荷されている.

鯖特有の臭みが減り, 生け締め後の酸化度合いも天然物より遅いと言う.

卸価格は 1 キロ 1600 円程度と一般的な養殖鯖の約 2 倍だが, 回転ずしなどから注文が多く慢性的に品薄状態だと言う.

鹿児島県県長島町でも冬季限定で餌に柚を混ぜた 「柚子鰤王」 を生産. 塩焼きやしゃぶしゃぶでは柚の香りが一段と感じられると言う.

日本の 11 年度の水産物消費量は 658 万トンと 10 年間で 25% 減少した.

養殖魚も供給過剰で相場が下落し生産者の採算は厳しいと言う.

然し, 「これからの養殖魚はこれまで以上に質が問われる. 独自色の強い商品の登場は時流に沿ったもの」 との意見もある様だ.

昨日, 日本の TPP 交渉への参加が, 関係 11 ヶ国総てで了承された.

今後どうなるのか, まだまだ予断は許さないが, TPP の如何に拘らず, 上記の様な, 他国には真似のできない 「強みを活かした攻めの農水業」 は今後目指すべき方向の一つであると思うのである.

Have a nice weekend!
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