或る不妊症夫婦の想い ― 2013/04/23 03:33
不妊症については, 本ブログで何度か採り上げているが, 不妊症治療に取組んでいるカップルは少なくない.
当施術所に於いても, 何人かの悩める女性が治療にお越しになっている程だ.
処で, 過日, 作家の佐川 光春さんが 「不妊症」 だった時の苦しみを 「不妊症と私と妻」 と題して, 日経に寄稿している.
それを読むと, 改めて, 不妊症のカップルの長い間の苦しみがどのようなものか, その一端を窺い知る事が出来る.
以下, 引用.
我々は不妊症だった. 結婚から 4 年経っても妻が妊娠せず, 産婦人科医院で検査を受けた処, 私の精子減少症が判明した.
乏精子症とも言われるが, 精子の密度が一般男性の半分ほどしかないため, 普通に性交をしていたのでは妊娠しない.
但し, 精子自体は正常で, 採取した精子を排卵日に合せて子宮内に人工的に送り込めばいいという.
人工授精と呼ぶのも憚られる簡単な操作だが, 検査の結果を告げられた後は, 何とも心許無い気持ちになったのを覚えている.
男子のコケンに関わると言うか, 妻の顔を真面に見られないと言うか, 自分の存在が希薄になったような感覚が暫く続いた.
遂には, ブドウの 「種無し」 という表記にまで敏感になる始末で, 私は遣り切れない思いだった.
処が, 人工授精が始まれば大変なのは妻の方だった.
毎朝基礎体温を計り, 仕事が忙しい中, 月に 3 度も通院しなければならない.
然も自分の身体に訪れる生理によって, 人工授精の失敗を知らされるのである.
妻の悲しむ姿を見るにつけ, 男とは実に気楽な生き物だと, 私は情けなくなった.
そんな折, 私の妹が妊娠した. 結婚して一年でのお目出度だった. 晩の 8 時頃に母からの電話で知らされて, 隠すのもおかしいので妻に伝えた.
彼女の頬を涙が伝った.
誰が悪い訳でもなく, 間が悪いと言う以外ないのだが, それを言っても始まらない. 不妊治療は 2 年に及んだが, 子どもは出来ないままだった.
何時まで人工授精を続ければいいのだろう? 別の病院にした方がよくはないか? 子どもを育てたいなら, 実子に拘らずに養子を貰う方向で考えるべきではないだろうか?
不妊治療を受けている間, 我々夫婦は総じて無口だった.
話し合いが大切だと言われるが, 人生の行方を左右する事柄について, おいそれと口に出せるものではない.
妻にさえ胸の内を打ち明けられない苦しさの中で, 私は小説を書こうと思い立った.
実生活の外側にフィクションを創り出し, その力によって妻と自分を励ましたい.
毎月人工授精を受けるのは肉体的にも精神的にも余りに苛酷なので, 2 回したら 1 回休むというペースで気長に構える事にした。
それが功を奏したのか, 妻は人工授精を休んでいる間に妊娠した. その後の経過も順調で, 結婚 7 年目に息子が誕生した.
私は嬉しかった.
然し治療の渦中で感じた切迫した気持ちを表現すべく, 男性の不妊をテーマにした小説を書き続けた.
それがデビュー 2 作目の 「ジャムの空壜」 で, 芥川賞の候補作にもなった.
我々が人工授精を受けていた 20 年前は, 不妊治療についての情報はごく少なかった.
この頃は新聞やテレビでも特集が組まれて, 様々な方の体験談や治療法が紹介されている.
不妊治療を受けていると, 自分たちが子どもを作るためだけに存在している様な気になってくる.
子どもがいなければ, 夫婦として失格である様に思い込みもする. 然し, 子どもがいようといまいと, 夫婦は夫婦である.
「ジャムの空壜」 を書きながら, 私は繰り返し自分に言い聞かせていた.
以上であるが, この様な悩みを読むと, 「子は授かりもの」 と言う言葉が思い浮かんでくる.
何時かも書いたが, "子どもが生まれてくる", と言うのは, 天の配剤とも言えるほどの貴重な確率なのである事が判る.
Have a nice day!
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・この 「健康小話」 のブログは, はり・きゅう・マッサージ トミイ
(http://www.ne.jp/asahi/shinqma/tommy/index.html)
の院長のブログです.
・鍼・灸・マッサージ・按摩・指圧を初め, 広く, 東洋医学や健康, 人としての生き方等に関して, 日頃感じている事を書いて行きます.
・なお, 診療予約時, 「このブログを読んだ」 と言って戴いた患者さんは, 初診料が半額となります.
・往診も承っております.
・心や身体に関する悩み事など, 何でもお気軽にご相談ください.
(E-Mail : tadashi.fukutomi@tcat.ne.jp)
・English speaking clients are welcomed!
・Premium Healing Oil Massage is available!
・学割適用始めました.
・モニター希望者募集中. (詳細お問合せ下さい.)
当施術所に於いても, 何人かの悩める女性が治療にお越しになっている程だ.
処で, 過日, 作家の佐川 光春さんが 「不妊症」 だった時の苦しみを 「不妊症と私と妻」 と題して, 日経に寄稿している.
それを読むと, 改めて, 不妊症のカップルの長い間の苦しみがどのようなものか, その一端を窺い知る事が出来る.
以下, 引用.
我々は不妊症だった. 結婚から 4 年経っても妻が妊娠せず, 産婦人科医院で検査を受けた処, 私の精子減少症が判明した.
乏精子症とも言われるが, 精子の密度が一般男性の半分ほどしかないため, 普通に性交をしていたのでは妊娠しない.
但し, 精子自体は正常で, 採取した精子を排卵日に合せて子宮内に人工的に送り込めばいいという.
人工授精と呼ぶのも憚られる簡単な操作だが, 検査の結果を告げられた後は, 何とも心許無い気持ちになったのを覚えている.
男子のコケンに関わると言うか, 妻の顔を真面に見られないと言うか, 自分の存在が希薄になったような感覚が暫く続いた.
遂には, ブドウの 「種無し」 という表記にまで敏感になる始末で, 私は遣り切れない思いだった.
処が, 人工授精が始まれば大変なのは妻の方だった.
毎朝基礎体温を計り, 仕事が忙しい中, 月に 3 度も通院しなければならない.
然も自分の身体に訪れる生理によって, 人工授精の失敗を知らされるのである.
妻の悲しむ姿を見るにつけ, 男とは実に気楽な生き物だと, 私は情けなくなった.
そんな折, 私の妹が妊娠した. 結婚して一年でのお目出度だった. 晩の 8 時頃に母からの電話で知らされて, 隠すのもおかしいので妻に伝えた.
彼女の頬を涙が伝った.
誰が悪い訳でもなく, 間が悪いと言う以外ないのだが, それを言っても始まらない. 不妊治療は 2 年に及んだが, 子どもは出来ないままだった.
何時まで人工授精を続ければいいのだろう? 別の病院にした方がよくはないか? 子どもを育てたいなら, 実子に拘らずに養子を貰う方向で考えるべきではないだろうか?
不妊治療を受けている間, 我々夫婦は総じて無口だった.
話し合いが大切だと言われるが, 人生の行方を左右する事柄について, おいそれと口に出せるものではない.
妻にさえ胸の内を打ち明けられない苦しさの中で, 私は小説を書こうと思い立った.
実生活の外側にフィクションを創り出し, その力によって妻と自分を励ましたい.
毎月人工授精を受けるのは肉体的にも精神的にも余りに苛酷なので, 2 回したら 1 回休むというペースで気長に構える事にした。
それが功を奏したのか, 妻は人工授精を休んでいる間に妊娠した. その後の経過も順調で, 結婚 7 年目に息子が誕生した.
私は嬉しかった.
然し治療の渦中で感じた切迫した気持ちを表現すべく, 男性の不妊をテーマにした小説を書き続けた.
それがデビュー 2 作目の 「ジャムの空壜」 で, 芥川賞の候補作にもなった.
我々が人工授精を受けていた 20 年前は, 不妊治療についての情報はごく少なかった.
この頃は新聞やテレビでも特集が組まれて, 様々な方の体験談や治療法が紹介されている.
不妊治療を受けていると, 自分たちが子どもを作るためだけに存在している様な気になってくる.
子どもがいなければ, 夫婦として失格である様に思い込みもする. 然し, 子どもがいようといまいと, 夫婦は夫婦である.
「ジャムの空壜」 を書きながら, 私は繰り返し自分に言い聞かせていた.
以上であるが, この様な悩みを読むと, 「子は授かりもの」 と言う言葉が思い浮かんでくる.
何時かも書いたが, "子どもが生まれてくる", と言うのは, 天の配剤とも言えるほどの貴重な確率なのである事が判る.
Have a nice day!
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・なお, 診療予約時, 「このブログを読んだ」 と言って戴いた患者さんは, 初診料が半額となります.
・往診も承っております.
・心や身体に関する悩み事など, 何でもお気軽にご相談ください.
(E-Mail : tadashi.fukutomi@tcat.ne.jp)
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