(1314) 岩盤は何故崩れないか (2)2013/09/30 02:28

宮内 慶彦氏の 「私の履歴書」 の続きである. (9/25 付)

規制改革を推し進める政府の組織は苦い経験を経て, 民間出身者のみの構成となった.

これで規制を変えていく方向性は生まれたが, それを実現するため, 委員が自ら相手官庁と折衝するという大きな負担を背負う事になる.

(中略)

95 年 4 月, 行政改革委員会に規制緩和小委員会が発足し, 座長に日本 IBM 会長の椎名 武雄さんが就いた.

小委員会は論点を矢継ぎ早に公表し, 規制緩和を推進する意見をまとめあげ, 村山 富市首相に改革を迫った.

翌 96 年 3 月, 橋本 龍太郎首相の主導で, 改訂版の規制緩和推進計画を閣議決定し, 11 分野の 1797 項目に亘る改革を実行する事になった.

あらゆる項目を俎上に載せた座長・椎名さんへの反発は大きかった.

規制に守られた業界や, 業界を応援する国会議員の攻撃に椎名さんは体調を崩し, 座長を退く事になる.

委員だった私は, 4 月にその後任を仰せつかった. その後、約 11 年間、委員長、議長などとしてこのテーマに関わり続ける事になる.

私たちが当初取り組んだのは民間経済活動への規制だった.

業法で守られた参入規制, 許認可, 価格統制など時代とともに失くすべきものが殆どだった.

撤廃・緩和は毎年着実に進んで行った.

この時期に実現させた規制緩和の数々は, 当時, 規制するのが普通だと考えられていた.

携帯電話の利用者が電話機をレンタルでしか使えなかったのを自由に買える様にする 「売り切り制」 の導入, 大都市圏の都心部などの容積率緩和や金融機関による金融市場からの資金調達の手段多様化...などだ.

99 年 4 月, 小渕政権は規制政策の主眼について緩和から改革へと舵を切った.

撤廃・緩和だけではなく, 独占禁止法を強化したり, 企業情報の開示を促したり.

経済活性化の基盤となる公正な市場作りの重要性を, 同時に意識する様になったからだ.

私は中央省庁の再編とほぼ同時に発足した総合規制改革会議の議長に任じられた. 小泉 純一郎首相が登場したのはその直後だ.

構造改革を旗印に掲げた小泉さんは, どの首相よりも強力に改革を支えようとしていた.

この時期には, 医療や教育など, 制度化しているシステムや公共サービスと言った社会的規制がテーマになっていた.

規制の岩盤にぶち当ったのだ.

社会的規制は経済的規制と違い, 人びとの暮しを守るために存在する. だから経済原理を優先させて緩めるのは罷りならん.

改革に抵抗する人びとは猛烈な反対運動を展開した.

本当にそうだろうか.

ほんの一例だが, 医療の分野では保険外の薬や治療法を用いた途端, 保険部分も自己負担となる.

そのため, 画期的な新薬や治療法を諦めざるを得ない患者がいるのを見過ごす事は出来ない.

岩盤のような規制に守られ, 既得権益を手放さない人たちがいるのが問題の本質ではないか.

記者会見で改革の進み具合を尋ねられた私は 「遅々として進んでいる」 と答えたが, 進んだ実感はなかった.

以上, 宮内氏が自らの体験を記述している如く, 因循姑息として既得権益を守ろうとする勢力の岩盤とはどの様なものか? の一端に触れる事が出来る.

本日のカット写真提供 : 下平 宏 氏 (きびたきシリーズ)

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