(1343) 癌の増殖抑える化合物2013/10/29 02:32

神戸大大学院の片岡 徹教授らのグループによると, 多くの癌の発症に関与する蛋白質 「Ras (ラス)」 の働きを阻害する化合物を発見したとの事.

化合物をマウスに投与した処, 癌の増殖が抑えられており, 新たな抗癌剤の開発に繋げたい考えの様だ.

Ras を作り出す遺伝子が突然変異している場合, Ras は他の蛋白質とくっつき, 細胞を癌化させる信号を伝達する様になると言う.

グループは, 大型放射光施設 SPring - 8 (兵庫県) で Ras を解析し, 2005 年, 表面に化合物が結合できる "ポケット構造" を発見している.

このポケットに結合する化合物があれば, 他の蛋白質とくっつくのを邪魔されるため, 信号伝達を阻み, 癌化を防ぐことが出来ると言う.

同グループでは, コンピューターのシミュレーションや作用実験を進め, 約 4 万の候補物質から 3 つを選び出し 「Kobe ファミリー化合物」 と命名した由.

ヒトの大腸癌を移植したマウスに当該化合物を投与すると, 投与していない場合と比べ, 癌の増殖を約 5 割抑えられたらしい.

然し, 昔から 「良薬は口に苦し」 とも言われ, 強力な抗癌剤は得てして副作用も強い事が懸念される.

今後, この点をクリア出来るかの見究めも必要だろう.

何れにせよ, Ras は, 大腸癌のみならず, 他の多くの癌の発症にも関与している蛋白質であるから, 片岡教授らが発見した当該化合物が 「夢の抗癌剤」 となるのか, 期待したい処である.

Have a nice day!
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