(1510) 一代限り2014/04/14 02:30

作家の山口 恵以子さんが, 日経の読書欄に, 次の様な一文を寄せている (「読書日記」).

友人の K さんは姪御さんの誕生日に毎年プレゼントを贈ってきた.

姪御さんが 20 歳を迎えた年に 「もうお菓子でもないな. 何か欲しい物, ない?」 と尋ねると 「おじさんが若い頃読んだ本を読んでみたい」 と答えた.

(何て素晴らしい娘さんでしょう!) 読書家の K さんは喜び勇んで本屋に駆けつけた.

すると, 『人狼戦線』 (平井 和正), 『夢幻地獄四十八景』 (都筑 道夫) など, 青春時代に夢中で読んだ本の半分以上が絶版になっていて, 愕然としたそうだ.

その話を聞いて, 昔読んだ坂口 安吾のエッセイを思い出した.

小説は一代限り、自分が死ねば自分の作品も死ぬ...という内容だったと思う.

読んだ時は 「そんなバカな. 文学は永遠だ. 現に安吾の作品は残ってるじゃない」 と思ったが, それは少数の例外で, 現状ではベストセラーを連発した作家も, 死後はどんどん本屋の棚から作品が駆逐されていく.

丹羽 文雄, 舟橋 聖一, 柴田 錬三郎, 有吉 佐和子...数え上げればきりがない.

山本 夏彦もかつて週刊誌のコラムで 「読者も作者と共に老いる. 長生きし過ぎた作家は読者を失ってしまう」 という意味の事を書いていた.

今の私は安吾に共感を覚える.

人は一代, 自分が死ねば作品も死ぬと思えば, いっそさっぱりする.

人は全力で生きればそれでよいのだ.

以上であるが, 私は, 最後の 「人は全力で生きればそれでよいのだ」 に, いたく想う処があったのである.

確かにその通りだと思うのだが, 自分を含めて, 果してどれだけの人間が 「全力で生き切れる」 のか...と. 言うは易く, 行うは難し.

それにしても, 書店の店頭で, 少し前の作家の著書を買うのは難しい時代になった事は確かである.

Amazon などネットで当った方が手に入れ易い時代になったのは間違いない.

Have a nice day!
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