(1608) 介護事業に成果報酬? ― 2014/07/21 01:58
日経によると, 厚生労働省は, 介護ｻｰﾋﾞｽを通じて要介護者の心身の状態が改善したかどうかを, 事業者に支払う介護報酬に反映させる検討に入ったと言う.
評価方法の研究を進め, 2018 年度から評価の高い事業者ほど報酬を多く受け取れる仕組みにする.
成果報酬型にする事で高齢者の要介護度の改善を促し, 介護給付費の抑制に繋げるのが狙いだと言う.
社会保障審議会 (厚労相の諮問機関) の介護給付費分科会は, 16 日に開いた研究委員会で, 介護の質を報酬で評価する手法を調査する事を決めたらしい.
今年度一杯かけて調査し, 18 年度の介護報酬改定で反映する事を目指す様だ.
介護報酬とは, 介護ｻｰﾋﾞｽを提供する事業者が, 対価として受け取る報酬の公定価格である.
介護保険制度が始まった 2000 年度から 3 年に 1 度見直している.
直近の 12 年度の改定では, 24 時間対応の定額訪問ｻｰﾋﾞｽを導入した.
介護報酬のうち利用者の負担は 1 割で, 残りは 40 歳以上が納付する保険料と, 国･地方自治体の負担で賄うのである.
現行の介護報酬の仕組みでは, 高齢者の介護の必要度を示す 「要介護度」 が高いほど, 介護保険で事業者に支払う報酬は増える.
重度の人ほど介護が大変だからだ.
ただこの仕組みだと, 介護を通じて高齢者の状態を改善して要介護度を下げると, 事業者が貰う報酬は減ってしまう.
ｻｰﾋﾞｽの質や効果を高める動機が乏しく, 努力した介護職員の待遇も高まり難い.
そこで介護の質を評価する客観的な指標を作り, 評価が高い事業者には介護報酬を増額する仕組みを目指すと言う.
調査研究は, 在宅復帰を目指す高齢者がﾘﾊﾋﾞﾘ目的で入所する老人保健施設や, 要介護者の介護計画を作るｹｱﾏﾈｼﾞｬｰの事業所を対象に実施するとの事.
要介護者の運動機能や認知能力などのﾃﾞｰﾀを継続的に集め, 介護保険の利用情報と突き合わせる.
介護ｻｰﾋﾞｽを通じて状態が改善したかどうかを測る.
心身の状態改善という 「成果」 を測る指標だけでなく, 例えば, 寝たきりの要介護者の床ずれを防ぐために, 体の向きを頻繁に変えると言った, 状態改善に向けた 「過程」 をみる指標も組み合わせた評価にする方針の様だ.
介護の質の評価は欧米諸国や韓国で先行していると言う.
国内でも滋賀県や東京都品川区が要介護度の改善に貢献した事業者に助成金を支給するなど, 自治体で独自の取り組みが出ている.
高齢化の進展で介護給付費は 25 年度には現在の倍の約 20 兆円に増えるとみられている.
事業者の取り組みで要介護度が改善する高齢者が増えれば, 中期的には介護ﾆｰｽﾞそのものが減って介護給付費を抑えられる効果も期待出来ると想定している様だ.
また, 国や自治体の他, 介護保険料を納めている 40 歳以上の国民の負担軽減に繋がる可能性もあると言う.
介護の質を評価する仕組みは政府が閣議決定した新成長戦略に検討する事が盛り込まれている.
以上が介護報酬改定案の中身である.
介護の質を評価する事に反対する心算はない.
然し, 介護現場で働いている按摩･ﾏｯｻｰｼﾞ･指圧師, 鍼灸師としての実感を正直に言うと, これで急増する一方の介護給付費の削減に繋がるとはとても考え難いのである.
極論すれば, 特養や老健などの施設においては, 本来手厚い介護を必要とする重度の利用者ほど, 寧ろ, 受け容れて貰い難く, 介護度の低い高齢者が優先されてしまう事になり兼ねないと懸念せざるを得ない.
介護は本質的に 「老化」 との闘いであり, 現代医学では, 老いを停める事は不可能である.
iPS 細胞の様に, 「時計の針を逆回転させる」 事は出来ない. 介護と言うものの 「前提条件」 が間違ってはいないのか?
現場を知らない, 頭のいい官僚や族議員の考えがちな案に過ぎない様に思えてならないのである.
Have a nice day!
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・この 「健康小話」 のﾌﾞﾛｸﾞは, はり･きゅう･ﾏｯｻｰｼﾞ ﾄﾐｲ
(http://www.ne.jp/asahi/shinqma/tommy/index.html)
の院長のﾌﾞﾛｸﾞです.
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評価方法の研究を進め, 2018 年度から評価の高い事業者ほど報酬を多く受け取れる仕組みにする.
成果報酬型にする事で高齢者の要介護度の改善を促し, 介護給付費の抑制に繋げるのが狙いだと言う.
社会保障審議会 (厚労相の諮問機関) の介護給付費分科会は, 16 日に開いた研究委員会で, 介護の質を報酬で評価する手法を調査する事を決めたらしい.
今年度一杯かけて調査し, 18 年度の介護報酬改定で反映する事を目指す様だ.
介護報酬とは, 介護ｻｰﾋﾞｽを提供する事業者が, 対価として受け取る報酬の公定価格である.
介護保険制度が始まった 2000 年度から 3 年に 1 度見直している.
直近の 12 年度の改定では, 24 時間対応の定額訪問ｻｰﾋﾞｽを導入した.
介護報酬のうち利用者の負担は 1 割で, 残りは 40 歳以上が納付する保険料と, 国･地方自治体の負担で賄うのである.
現行の介護報酬の仕組みでは, 高齢者の介護の必要度を示す 「要介護度」 が高いほど, 介護保険で事業者に支払う報酬は増える.
重度の人ほど介護が大変だからだ.
ただこの仕組みだと, 介護を通じて高齢者の状態を改善して要介護度を下げると, 事業者が貰う報酬は減ってしまう.
ｻｰﾋﾞｽの質や効果を高める動機が乏しく, 努力した介護職員の待遇も高まり難い.
そこで介護の質を評価する客観的な指標を作り, 評価が高い事業者には介護報酬を増額する仕組みを目指すと言う.
調査研究は, 在宅復帰を目指す高齢者がﾘﾊﾋﾞﾘ目的で入所する老人保健施設や, 要介護者の介護計画を作るｹｱﾏﾈｼﾞｬｰの事業所を対象に実施するとの事.
要介護者の運動機能や認知能力などのﾃﾞｰﾀを継続的に集め, 介護保険の利用情報と突き合わせる.
介護ｻｰﾋﾞｽを通じて状態が改善したかどうかを測る.
心身の状態改善という 「成果」 を測る指標だけでなく, 例えば, 寝たきりの要介護者の床ずれを防ぐために, 体の向きを頻繁に変えると言った, 状態改善に向けた 「過程」 をみる指標も組み合わせた評価にする方針の様だ.
介護の質の評価は欧米諸国や韓国で先行していると言う.
国内でも滋賀県や東京都品川区が要介護度の改善に貢献した事業者に助成金を支給するなど, 自治体で独自の取り組みが出ている.
高齢化の進展で介護給付費は 25 年度には現在の倍の約 20 兆円に増えるとみられている.
事業者の取り組みで要介護度が改善する高齢者が増えれば, 中期的には介護ﾆｰｽﾞそのものが減って介護給付費を抑えられる効果も期待出来ると想定している様だ.
また, 国や自治体の他, 介護保険料を納めている 40 歳以上の国民の負担軽減に繋がる可能性もあると言う.
介護の質を評価する仕組みは政府が閣議決定した新成長戦略に検討する事が盛り込まれている.
以上が介護報酬改定案の中身である.
介護の質を評価する事に反対する心算はない.
然し, 介護現場で働いている按摩･ﾏｯｻｰｼﾞ･指圧師, 鍼灸師としての実感を正直に言うと, これで急増する一方の介護給付費の削減に繋がるとはとても考え難いのである.
極論すれば, 特養や老健などの施設においては, 本来手厚い介護を必要とする重度の利用者ほど, 寧ろ, 受け容れて貰い難く, 介護度の低い高齢者が優先されてしまう事になり兼ねないと懸念せざるを得ない.
介護は本質的に 「老化」 との闘いであり, 現代医学では, 老いを停める事は不可能である.
iPS 細胞の様に, 「時計の針を逆回転させる」 事は出来ない. 介護と言うものの 「前提条件」 が間違ってはいないのか?
現場を知らない, 頭のいい官僚や族議員の考えがちな案に過ぎない様に思えてならないのである.
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