(1675) めぐる盃2014/09/26 02:38

過日, 熊倉 功夫(静岡文化芸術大学学長が、日経夕刊のコラム 「あすへの話題」 で下記の様な一文を寄せていた.

子供の頃に教えられた 「荒城の月」 は今も, 時々口遊む位好きな歌であるが, 覚えた頃はその歌詞の意味は殆ど理解出来ていなかった.

「春高楼の花の宴」 までは分った. が, 然しその次の 「メグルサカズキ」 が判らない. 意味が分らないから 「メグルサ, カズキ」 と歌っていた.

これが 「巡る盃」 であると判ったのは後の事.

それにしても盃が巡るとは, 如何言う事か. 分った様で判らない.

飲食史を勉強して, 中世の宴会では一つの盃が一同の間を廻り, 主君と家臣が同じ盃を共にする事で主従の関係を強める事になった事を知った.

最近では, 盃を頂戴するとか言うとアブナイ世界の事の様だが, 盃の応酬も新郎新婦が三々九度の盃を交して夫婦の契りを結ぶのも, 皆, 元は巡る盃である.

なぜ, 盃を共にする事がそれほど重要な事なのだろうか.

如何やら日本人は唇に関してとても潔癖, 或いは憶病なのである.

例えば, これだけ西欧化しながら, 街頭でキスをしている若者を見る事は殆どない.

唇が触れる範囲は個人のテリトリーで他人は入れない.

皆さんの家庭でも, 自分の湯呑みや箸, 飯茶碗をそれぞれ持っていて, 家族と謂えども共用しない所が多いのではなかろうか.

唇が触れる範囲が他人の侵入を拒む個人のテリトリーであればこそ, 逆にそこへ入り込んで来てしまった他人は, 入ってきた時点で他人ではなくなって, 身内になる.

この儀式が 「巡る盃」 と言えよう.

日本人の価値観も生活様式も大きく変っているが, 最後に日本人らしさとして残るのは, こうした皮膚感覚かもしれない.

以上であるが, 言われてみれば確かに, 西欧社会の家庭では 「マイ 箸」 に相当する様な食器の存在は先ず無い様である.

ナイフやフォークなど, 総てが共用である.

唇の触れる範囲が他人を拒む個人の領域で, 一旦, そこに入り込めれば 「身内」 と見做される, とは卓見であると思う.

話は変るが, 鍼にも灸にも幾つか種類があって, 鍼の場合, 金鍼, 銀鍼, ステンレス鍼 (ディスポ鍼) とあって, 私の場合, 通常はステンレス鍼を用いている.

処が, 稀に, 患者さんによっては, 金鍼, 銀鍼を好まれる方がおられる.

そんな場合, 素材が金や銀で出来た鍼はとても高価なので, 「マイ鍼」 として特別にご購入戴いて, 何度か繰り返し使用する.

感染症予防のためである.

ご承知の様に, ステンレス鍼はメーカーの段階で, 滅菌消毒・密封個装された 「使い捨て」 鍼なので、感染症の心配はない.

Have a nice day!
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