(1705) 慢性疲労症候群の痛み2014/10/26 03:38

名古屋大大学院医学系研究科の木山 博資教授 (機能組織学) らの研究グループは, 慢性疲労症候群 (CFS) 患者が感じる痛みは, 脳や脊髄内の免疫機能を担う細胞 「ミクログリア」 の活性化が原因の一つとなって引き起こされる可能性が高い, との研究結果を発表している.

CFS は痛みや強い疲労感が半年以上続き, 睡眠障害などを引き起こすが, 痛みの原因は分っていなかったのである.

研究グループは, ラットを水深 1 センチのケージに入れてストレスを与え, 皮膚や筋肉に炎症や損傷がないのに足などに痛みを感じる様, CFS 患者と似た症状を作り出した.

このラットの脊髄を調べた結果, 脳に感覚を伝える 「後角」 と呼ばれる領域で, ミクログリアが活性化して増殖している事を確認した.

薬を投与しミクログリアを減少させると, 痛みの反応を確認するため, 糸を足に当てても嫌がらなくなったと言う.

この事から, CFS などの患者の疼痛を和らげる治療には, 中枢内のミクログリアを標的としてその活動を抑制する事が有効であり, 疼痛の治療法の開発に役立つものと想定される.

今後, 末梢組織の炎症や損傷がない中で, 脊髄後角の一部にミクログリアが増殖活性化するメカニズムを解析する事で, 慢性疲労症候群の更なる解明が期待出来ると言う.

身体を病気から守る免疫系の代表的な細胞が, 血液中に存在する白血球である.

然し, 病気や怪我などで血管が損傷した時を除いては, 脳には白血球が侵入出来ない様になっている. そこで, 白血球の代りに, 脳内で免疫防御を担っているのが, グリア細胞の一種の ミクログリアなのである.

ミクログリアは通常は突起を多数伸ばして, 周囲の細胞に接触し, 異常がないかを監視している.

ニューロンに異常が起こると, 形を変え, ニューロンの修復を手助けするような成長因子を放出する.

また, 腫瘍細胞や細菌を殺す様な分子も出す. 更には, 死んでしまったニューロンや他の脳細胞を貪食して, 脳内を清掃する役目も担っている.

然し, 免疫細胞としてのミクログリアの働きは諸刃の剣でもある.

と言うのも, 腫瘍細胞や細菌を殺すためのサイトカインや蛋白質分解酵素, 活性酸素類は, 時として, 正常なニューロンを殺してしまう事もあるからだ.

健康な人では, ミクログリアが必要以上に働き過ぎない様に, 制御する機構が働いていると言われている.

けれども, アルツハイマー病やダウン症の患者では, この制御が効かずに, ミクログリアが暴走し, その結果ニューロンの死と痴呆と言う状況を招いていると言う説も存在している.

ミクログリアの免疫機能の実態はまだまだ未解明なのだ.

Have a nice weekend!
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