(1733) 真織 由季 著 「元タカラジェンヌのカウンセラーが教える 心の疲れをス-ッと消す方法」2014/11/23 02:08

元宝塚のスターだった著者の真織 由季さんは, 現在はカウンセラーとして, ストレスケア・マネジメント教室を主宰している.

彼女は 1985 年にデビュー, 2 年目にはニューヨーク公演のメンバーにも選ばれるなど, 一躍注目株のスターとなった.

然し, 星組の 3 番手男役スターに就任した頃から極度のプレッシャーに圧し潰される様になり, そのストレスから 「ステージに穴を開ける」 という大失態を演じてしまった事もあった.

その後もストレス症状は止まず, 宝塚退団を余儀なくされたと言う.

退団後は "廃人同様" の生活を送っていたが, 「BTU バランスセラピー」 というストレスをコントロールする学問に出逢い, そこから奇跡の復活を遂げたのである.

バランスセラピーとは, ストレスを数値化して把握し, 精神的なサポートだけでなく, 筋肉などの器質的な面からのアプローチで脳の歪みを正し, 脳の疲労を解消して行く 「ホメオストレッチ」 という技術を骨格とする理論だと言う.

日本では, 国公立大学との共同研究も進んでおり, 脳の断層撮影, 脳波の測定などから科学的な実証研究も進んでいる様だ.

「ストレスは脳の歪み」 に起因するもの, という考え方が基本にあり, それを治すのに最も合理的なのが 「筋肉のケア」 であるとされている.

言うまでもなく, 脳は神経を通じて全身の筋肉と繋がっている.

中でも, 脳の最深部で自律神経を司る 「脳幹」 が歪んだり, 疲れたりすると, 自律神経がバランスを崩してしまい, "自律神経失調症" となって, 様々なストレス症状が現れる訳だ.

そこで, 脳, 特に, 脳幹と繋がっている筋肉に働きかける事で, 神経を介して脳幹に刺激を与え, ストレス症状の大本である自律神経失調症を改善しよう, と言うのが, 本書が勧めるバランスセラピーの要諦となっている.

そこで重要になる筋肉が, 「抗重力筋」 と呼ばれる一連の筋肉群で, 大昔, 人間が万有引力に逆らって二足歩行を始めた事で発達を遂げた筋肉群である

著者によると, 大腿四頭筋や腹直筋など, 脳を頂点に保持するために, 常に重力に逆らう役割を担う事になったこれらの筋肉を, 効果的にケアする事で, 脳幹の疲労を軽減し, ストレス症状を解消できると言う.

本書の特徴的な処は, ストレスを心の問題とは捉えていない点である.

たとえ心が沈んでいても, 『前向きでいる』 努力をしなくていい.

取り敢えず太腿に触れてみると, じんわり温かくなって, 気持ちよくリラックスする事ができる, と, バランスセラピー効果を説いている.

本書で採り上げられている 「筋肉のケア」 は, オフィスや自宅で簡単に出来るものばかりである.

例えば, ストレス解消ストレッチの 「太もも編」 は次の様な構成になっている.

1) 手のひらを重ねて太腿の上に置く.
2) 太腿の温かさが手に感じられるまで 2 秒ほど待つ.
3) 一旦鼻から息を吸い, 口から吐きながら 5 秒かけて弱い圧を加える.
4) そのまま 5 秒キープして 「ふわっと」 手を離す.

ストレスに悩んでいる方は一読し, 参考にしてみては如何だろうか.

Have a nice weekend!
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