(1769) 原 寛 著 『博多に生きた藩医 - 原 三信の四百年』 (石風社)2014/12/29 01:30

江戸時代の初めに筑前 (現在の福岡県) の黒田藩初代藩主・黒田 長政公に医師として召し抱えられて以来, 同藩に藩医として仕えてきた医家がある.

明治維新後も福岡で医業を続けてきた原 三信 (サンシン) 家だ.

その末裔に当る原 寛 医師 (原土井病院理事長) が先般, 日経の文化面で表題の本を纏めた経緯を振り返っている.

それを一読しただけでも, 我が国の医学界の先達たちの素晴しい業績と苦労の一端を知る事が出来る.

例えば, 以下の如くである.

長崎・出島のオランダ商館医から医学教育を受けた 6 代目は, 長崎滞在中に西洋伝来の解剖書を 1 年掛りで模写して福岡に持ち帰っている.

模写したのは, ドイツ人医師レメリンによる解剖書 『小宇宙鑑 (カガミ)』 のオランダ語版を日本語に翻訳した 『阿蘭陀経絡筋脈臓腑図解』.

6 代目は訳本と同じ様に, 臓器や筋肉などは紙を切り抜いて重ねて貼り, 上から捲れる様にしていた.

翻訳したのは, オランダ通詞 (通訳) の本木 庄太夫 (良意) と伝えられる.

本木は, 6 代目が 1685 年に受けたオランダ語による外科免状にも通詞の一人として名を連ねる.

本木が翻訳を完了したのは 1682 年頃とされ, 杉田 玄白が 『解体新書』 を刊行した 1774 年より 90 年も前の事になる.

6 代目が外科免状を受けてから 300 年になる 1985 年, 原医師は 15 代目とともに, 原 三信家に伝わる解剖図などを写真で撮った影印本にして刊行した.

95 年に出た改訂版には, 医学史研究の泰斗, 酒井 シヅ順天堂大名誉教授から 「日本最初の西洋解剖書の翻訳」 という論文を寄稿して貰っている.

以上の如く, 人口に膾炙している杉田 玄白の 『解体新書』 の出る 90 年も前に, この様な書物が流布していた訳である.

我が国の先達の努力と苦労にはただただ敬服するばかりだ.

Have a nice day!
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