(1783) 「老い」 は病か? (1)2015/01/12 02:06

私の様な仕事をしていると, 高齢者の患者さんと接触する事が多い.

そんな高齢者の方の健康に関する悩みは, 一言では言い表せない程, 多種多様であるが, 共通しているのは 「症状がなかなか良くならない」 と言う点である様に思う.

若くて元気な時の自分の身体のイメージがその前提になっている様なのである.

然し, 「老い」 による身体症状の変化は, 所謂 「病気」 とは些か異なる性質のものであると思っている.

例えば, 100 メートル走を 10 秒台で走れたアスリートが, 年を重ねる毎に, タイムが落ちて行くが, これは所謂病気によるものではない.

言ってみれば 「老化現象」 なのである.

これと同じで, 高齢者は, 往々にして, QOL (生活の質) の低下を 「病気」 に因るものと思い込んでいる節がある.

それで 「良くならない」 と口にする事がある様に思う.

日頃, そんな想いを抱きながら, 施術を行っているのであるが, 先日以下の様なシリーズ記事に出会った.

日経夕刊に 「医師の目」 と題して, 時折, 斯界の医師がエッセイを寄せている.

今回紹介する筆者は, 高齢者専門の 「トランスクリニック等々力」 を経営する大蔵 暢 (トオル) 院長である.

「『老年医学』 で生活サポート」 と表題が付いている. (以下, 引用)

研修医時代, 高齢の女性患者を診察した時の事.

「血圧よし. 血糖値よし. 膝の痛みには痛み止めを出しておきますね」. テンポ良く診察を 5 分ほどで終え, 「お大事に」 と声を掛けて退室するよう促した.

すると女性と付き添いの娘の 2 人が, 伏し目がちに診察室を出て行きながら不満げな表情を浮かべた.

その時の光景がずっと心に引っかかり続けた.

その後, 米国留学中に老年医学と出合い, 医師としてのターニングポイントを迎えた.

医師になって 12 年目だったが, まさに目から鱗が落ちる様な経験をした.

老年医学の専門医らが, 多くの問題を抱える高齢患者を強固なチームワークで, まるで複雑に絡まった糸を解きほぐす様に分析, 解決して行った.

正常な 「老い」 の変化や, 譫妄や転倒など高齢者特有の健康問題である 「老年症候群」 の知識を積み上げ, 病気だけでなく 「老い」 や 「老年症候群」 が如何に高齢患者の生活に影響するのかを理解した.

医師として遅い決断だったが, 30 代後半で老年医学を志す決心をした.

帰国後, 都内の老人ホームで老年医学の実践を始めた. そして気付いた.

研修医時代に診察した女性患者は, 多過ぎる薬とその副作用に不安を抱いていた事. 毎朝の眩暈が重大な病気なのか, 一般的な老いの現象なのか分らず悩んでいた事. 看護の負担に苦しむ娘が福祉サービスの相談をしたかった事.

駆け出しの医師だった私は, 高血圧や糖尿病などの病気に捉われる余り, 女性や娘の家族の生活にまで考えが及ばなかったのだ.

若年層が人口の大部分を占めていた 20 世紀の日本では, 珍しい病気の発見や難病の治療にスポットライトが当った.

然し 21 世紀の超高齢社会. 「老い」 の影響で治癒が期待し難くなり, 多くの老年病が高齢患者や家族の生活を脅かしている.

一つ一つの病気を治療出来ないまでも, 人生の先輩方が病気や障害, 悩みを抱えながらでも, より長くより良く生きられる様生活をサポートする. そんな新しい医療が, 今求められていると感じている.

(引用終り)

我々の様な, 按摩・マッサージ・指圧師, 鍼灸師の仕事も, 大蔵医師が専門とする 「老年医学」 とオーバーラップする処がある

"一つ一つの病気を治療出来ないまでも, 人生の先輩方が病気や障害, 悩みを抱えながらでも, より長くより良く生きられる様生活をサポートする. そんな新しい医療が, 今求められていると感じている."

全く同感である. QOL や ADL (Activities of Daily Life) の質を落とす事の無いよう, サポートする, そんな施術ニーズが高まって来ている様に感じている.

Have a nice holiday!
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