(1785) 「老い」 は病か? (3)2015/01/14 03:35

以下, 大蔵院長の 3 回目の連載である.

長い間, 呼吸器病を患っていた男性患者が, 94 年の生涯を終えた.

2 年半住んだ老人ホームの自室で, 2 人の娘に見守られながらの静かな旅立ちだった.

丁度半年前, 男性は医療者や老人ホームのスタッフ, 家族を集めてこう宣言した.

「私はもう十分に生きたし, 何時でも死ぬ準備は出来ている. 不必要な病院搬送や延命治療は絶対に止めて貰いたい. 苦痛だけは取り除いて, ここで看取って欲しい」

老人ホームへの訪問診療は, 高齢患者やその家族と長く, そして深く付き合う事の出来る診療形態だ.

日々の診察を通じ, 患者から今までの人生体験や現在の価値観を聞き, 家族からは家族構成や患者との繋がり, その家固有の文化などを教えて貰う.

これらの情報は, 各個人に最適な医療を施すのに役立てる事が出来る.

患者や家族との関係を深めながら, 私からも折をみて多くの高齢者を診てきた経験について話をさせて貰う.

自著 「『老年症候群』 の診察室 超高齢社会を生きる」 を教材に, 「老いるとは如何言う事か」 や 「死の迎え方」 について説明する.

「自分らしく老い, 生き終える」 事を考えて貰う為だ.

早い時期から医療者が加わり 「終の生活」 を考える共同作業は大事な事だ.

最期を迎えるという時, 高齢患者の意に反して 「病院に連れて行かなくて大丈夫だろうか」 「もっと命を永らえる方法はないだろうか」 と悩む家族がいる.

既に話せなくなった患者の意思や尊厳を守りながら, 家族を支えられるのはそれまで付き合ってきた医療者の他にはいない.

呼吸器病の男性は, 見舞いが絶えないほど老人ホームの他の入居者に慕われていた.

男性患者の最期を看取った人は口々にこう言った. 「先生, とても平穏ですね. 私の時も彼の様にお願いしますね」.

他人の穏やかな死に寄り添う事は, 周りの高齢患者にとっても延命治療ではなく自然死を積極的に検討して貰うきっかけになった.

昔は多くの高齢者が自宅で家族に看取られていた為, 死は身近なものだった.

然し, 今は多くの人が病院で最期を迎える様になり, 臨終に立ち会う機会が減ってしまった.

こうした現状の中, 老人ホームは, 経験豊かな医療者から終末期における医学的な助言を受ける事ができ, また高齢者同士で最期の迎え方を学び合える 「老いと自然死のコミュニティー」 の場になると感じている.

以上であるが, 大蔵院長の言うように, 「自分らしく老い, 生き終える」 事が出来れば幸せな人生と言えるが, 通常, それは簡単な事ではない.

Have a nice day!
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