健康小話

この程, 名古屋で開かれた日本癌学会において, 癌細胞だけに抗癌剤を送り込む DDS 技術の開発に成功した, と京都薬科大学や北海道大学のﾁｰﾑが発表している.

癌組織は正常な組織に比べて血管に隙間が多く, 脂質の膜で出来た微小ｶﾌﾟｾﾙを血管に注射すると, その多くが癌細胞に流れ着くと言う.

効き目が強い薬を封入し, 癌細胞内に集中して取り込ませられる. また, 正常な細胞は傷めず, 副作用を減らす事が出来る.

京都薬科大の浜 進講師らは 「ﾘﾎﾟｿｰﾑ」 と言う脂質でできた膜で抗癌剤を包み, 特殊なﾍﾟﾌﾟﾁﾄﾞ (蛋白質の断片) を付けてｶﾌﾟｾﾙにしている.

ｶﾌﾟｾﾙの一部が癌細胞の膜に着くと分解してｶﾌﾟｾﾙが壊れ, 薬が細胞内へ放出される.

ｶﾌﾟｾﾙに緑色の蛍光色素を入れ, ﾋﾄの肺癌の培養細胞で実験している.

すると, ｶﾌﾟｾﾙが細胞に触れ, 30 秒 - 1 分で色素が細胞内へ入る様子が観察出来たと言う.

今後はﾏｳｽでの実験に移行する予定との由.

また, 北大の尾崎 倫孝教授らは, ｶﾌﾟｾﾙの表面に 2 種類のﾍﾟﾌﾟﾁﾄﾞを付けた.

一方のﾍﾟﾌﾟﾁﾄﾞが細胞膜を刺激し, ｶﾌﾟｾﾙが膜を通り抜けるのを助ける. 細胞に入ると, もう一つのﾍﾟﾌﾟﾁﾄﾞが環境の変化を感じて形を変え, ｶﾌﾟｾﾙを解いて薬物を放つﾒｶﾆｽﾞﾑと言う.

ｶﾌﾟｾﾙに蛍光物質を付けた抗体を入れ, 癌の培養細胞に懸けると, 15 分で 95.8% が細胞内に運ばれたのが確認されている.

微小な癌を光らせる物質を入れて早期診断へも応用する.

5 年後を目処に臨床研究を目指している由.

ﾏｲｸﾛｶﾌﾟｾﾙの技術も実用化一歩手前の段階にまで来ている様だ.

Have a nice weekend!
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