(2263) 地震恐れたチンパンジー (1)2016/05/07 03:29

熊本・大分地方を襲った地震は, 未だに収束の見通しが付いていない.

被災地の皆様の心労は如何許りであろうか?

被災者の方々の PTSD が懸念されている.

処で, 前にも紹介しているが, 松沢 哲郎京都大学霊長類研究所教授が, 日経朝刊の日曜版に連載をしている 『博士とチンパンジーの知の探検』 で, この時の霊長類の反応を次の様に報告している.

副題は 「地震恐れたチンパンジー」. (以下, 引用)

14 日以降, 震度 7 や 6 強という非常に強い地震が相次いだ熊本県で被災された方々に思いを馳せている.

実は, 京都大学には野生動物研究センター 「熊本サンクチュアリ」 と呼ぶ施設があり, チンパンジー 58 人 (ヒト科なのでこう数える事にしている) とボノボ 6 人が暮している.

熊本県の中部から突き出した宇土半島の先端付近に位置する.

今回の大きな地震を引き起こした布田川 (フタガワ) 断層帯に面した海岸沿いの丘の上だ.

所長の平田 聡教授によると, 2 回の大きな地震に耐えて全員無事だった. 建物にも目立った被害はなかった.

チンパンジーやボノボたちが住むアフリカ大陸では, 東側で地震が起こる地域がある程度だ.

チンパンジーの地震体験という希少な観察結果を紹介したい.

以下は, 技術職員の野上 悦子さんの報告を纏めたものだ. 野上さんはサンクチュアリから程近い集落に住んでいる.

被害が大きかった益城町で震度 7 を記録した 14 日夜の最初の大地震では, 宇土半島の震度は 4 程度だった.

この時, チンパンジーらがどんな反応を示したのかは夜なので判らない.

サンクチュアリには屋外運動場や寝室があり, それらが通路で繋がっている.

15 日朝は余震の度に 「ワァオ、ワァオ」 と, アラートという大きな吠え声を出し, 運動場のタワーなど高い所へ逃げた.

個体差が大きいが, しょんぼりしていたり, 飼育員の顔を見るなり駆け寄って助けを求めたりするチンパンジーもいた.

残された便を調べた処, 略全員が前夜に軟便, 詰り 「びびりうんち」 をしていた.

もし逃げ惑っていたなら, うんちがそこここに飛び散っている筈だ.

然し, それぞれがひと纏まりだったので, 地震による恐怖で腹が緩くなったと解釈出来る.

略半数が, 差し出された朝食を受け取らなかった.

夜間は寝室と運動場を開放しているが, 一部のものは寝室だけで夜を過ごす構造になっている.

室内で夜を過ごしたチンパンジーたちは扉を開けると, 皆逃げる様に部屋を飛び出て行った.

闇の中, 部屋に閉じ込められて味わう地震の恐怖は容易に想像出来る.

日中は皆とても静かにしていた. 夜眠れなかったのかもしれない.

昼食と夕食の時は何時も室内に呼び入れているが, 略半数は入室しようとしなかった.

入室したチンパンジーたちも, 何時もの半分程度の量しか食べなかった. そわそわして 「食べている場合じゃない」 という感じだった.

16 日未明に第 2 の大地震が発生した.

この時も宇土半島は震度 4 程度で, 高さ 1 メートルの津波注意報が出た.

朝の様子は前日と略同じだった.

びびりうんちも見られたが前日程ではなかった. ただ, 殆どは室内で寝た形跡がなかった. 外で過ごし, 布袋でベッドを作って寝た様だ.

本日のカット写真提供 : 下平 宏氏 (虫を探すキビタキ)

Have a nice weekend!
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