(2313) 言葉で伝える大切さ学ぶ2016/06/26 02:20

阪井 裕一国立成育医療研究センター副院長が, 日経日曜版の 「医師の目」 と言うコラムに, 次の様な記事を寄せている. (以下, 引用)

小児集中治療を学ぼうと向かったのは, カナダ・トロントの小児病院.

1984 年 7 月から約 3 年半, ここで研修医として重症の子どもの診療に当った.

英語を自由に話せる訳ではなく, 初めは患者や家族と上手くコミュニケーションを取れるか不安だった.

そこで, 点滴や蘇生など身に付けた技術的なスキルを生かして, 医師としての地盤を築こうと思った.

果して, 初めての当直の夜, その機会が巡って来た.

1 人の患者が心停止を起こしたとの連絡が入り, ベッドサイドへ. 看護師に代り, 心臓マッサージや蘇生薬の注入をしようとした時だった.

看護師が怪訝な顔でこう言った. 「あなたは医師なのだから, 私に蘇生法や投薬を指示し, その後, 親に連絡して子どもの状態を話して下さい」.

最も恐れていた苦手な事を求められた. 汗びっしょりで親に話し, その場を切り抜けた.

必要な事は必ず言葉に出して相手に伝えるという, 医師としての基本的な態度を教わった思いだった.

そう言えば, 同僚の医師は例外なく診療の最後に 「何か質問はありませんか?」 と聞く.

こう尋ねないと診察を終えてはいけない, と言うルールになっているかの様な印象だった.

私は, それまで, 問われた事には答えるが, 十分理解して貰わなければ治療に差し支える場合を除いて, 質問があるか確認して来なかった.

然し, 医師の前で, 弱い立場の患者には, あまり質問して 「うるさい患者」 だと思われたくないと言う心理が働く.

だから, "医師の側から質問がないか尋ねるのが, 配慮ある人間の振る舞いだ" という考え方が, この地の医師・患者関係の底流にある.

私の方が, 患者家族に配慮して貰った事も, 何度もあった.

別の当直の日の事,

命の危機が迫る子どもを治療したが事態は好転しない. 厳しい状態にある事を父親に伝えなければならない.

「私の言葉の表現は適切ではないかもしれませんが...」 と切り出すと, 父親が柔和な顔で言った.

「グッドドクター (良い医師) とグッドスピーカー (うまい話し手) の違いは分るから, 心配しないで話してくれ」.

相手への尊敬と配慮に満ちた人間関係の基本を教わった思いだった.

引用は以上であるが, 阪井先生の仰られている事は, 我々施術師も心得ておくべき事である.

何も医師と患者の関係に限られた話ではないが, 人間関係において, "尊敬と配慮に満ちた" 円滑なコミュニケーションほど大切なものはない.

Have a nice weekend!
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