(2545) 放置療法 科学的根拠に疑問2017/02/13 02:27

これまで, 何回か紹介しているが, 東大付属病院放射線科准教授の中川 恵一先生が日経夕刊に 「がん社会を診る」 と言うエッセイを連載しておられる.

過日, 表題の一文を載せておられた. (以下, 引用)

今から 20 年程前まで, 癌の治療は医師によって大きく違いました.

手術の方法や薬の選択が, 個々の医師の判断に任されていたからです.

その後, 癌に限らず, 治療は医師個人の意見や経験ではなく, 科学的な根拠があるか如何かで選ぶべきだと言う考えが広まりました.

エビデンスベーストメディシン (EBM) と呼ばれる考え方です.

個々の治療の有効性を調べる為に実施するのが, 臨床試験です.

その中でも最も説得力が高いのは 「無作為化比較試験」 と呼ばれる方法です.

状況が同じ多数の患者を治療を受ける人と受けない人に籤引きで振り分け, 一定期間後に生存率などを比較します.

治療を受けた人の方が結果がよければ, 有効性の科学的根拠になります.

治療の有無ではなく, 異なる治療同士を比べる事もあります.

こうして最も科学的根拠が強く, 最良と判断されたものを 「標準治療」 と呼びます.

標準治療ではない治療をするには, 先ず無作為化比較試験で根拠がある事を示す必要があります.

医師の中にも, 「癌は治療せず放置すべきだ」 と言う意見があります.

それは標準治療とは違う方法なので, 先ず臨床試験で有効性の科学的根拠を示すべきだと考えます.

通常の診療で用いるのはその後です.

科学的根拠を示す事が出来れば, 癌の治療全体が変ります.

19 世紀末に米国の外科医ハルステッドが, 乳房だけでなくその周囲を広範に切除して転移を防ぐ乳癌手術を提唱し, 世界中で数十年間に亘って広く行われました.

その後, 小さく切っても生存率は変らない事が臨床試験で明らかになり, 現在では殆ど行われなくなりました.

ただ, 標準治療と癌の放置療法を比較する臨床試験をするのは, 現実には難しいでしょう.

先ず病院の倫理委員会の審査を受ける必要がありますが, 放置は患者のリスクが高く, 倫理的に認められないと判断される可能性が高いと思います.

倫理委が了承しない治療の臨床試験は, 患者に実施出来ません. そうする事で, 矢鱈な治療が行われるのを防いでいるのです.

癌の放置療法に科学的な根拠が得られる事は, 今後も恐らくないと思います. (引用終り)

処で, 私の患者さんの中に, 一人ユニークな方がいらっしゃる.

何か判断事に迷うと, 「神のお告げ」 を聴く事の出来る異能者の知人に相談すると言う.

その患者さんの友人が子宮癌に苦しんでいたので, 彼女を連れてお告げを訊きに行った.

お告げでは, 病因は或るストレスで, それを除いてやれば快方に向かうとの事であった由.

その結果友人は子宮癌から解放され, 今は元気に飛び廻れる程になっていると言う.

但し, 患者さんの言う処では, 神のお告げを聴くには, それを素直に受け容れる事 (信ずる事) が出来る人でなければならないそうである.

科学的根拠はないのだけれど, この様な事実も稀に (?) 存在するが故に, "放置療法" の様なものが無くならないのであろう.

この世の中には, まだまだ未解明な現象が沢山存在しているのである.

本日のカット写真提供 : 下平 宏氏 (富士に着陸?)

Have a nice day!
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