健康小話

認知行動療法研修開発ｾﾝﾀｰの大野 裕先生が 「こころの健康学」 (日経日曜版に連載) で次の様に言っておられる. (以下引用)

認知症を取り上げたﾃﾚﾋﾞ番組を見ていたら, 「早期発見, 早期絶望」 と言う字幕が目に飛び込んで来た.

「早期発見, 早期治療」 と言う表現を耳にした事がある人は多いと思うが, 「早期発見, 早期絶望」 とは如何言う事なのか, 不思議に思った視聴者も少なくなかったかもしれない.

最近は様々な医療技術が発達した事もあって, 早期発見の大切さが強調される傾向がある.

確かに, 早い段階で病気が発見出来れば, 治療の効果も上がり易い.

然し, それは飽く迄きちんとした治療法がある場合で, 認知症となると少し話が違ってくる.

認知症は, 今の処, 根治出来ない進行性の病気だ.

一方で, 認知症になる可能性は, 症状が現れる前から診断可能だと言われたりする.

治す事の出来ない病気に罹っていると言われても, 発見出来て良かったと言う事にはならない.

絶望感が強まるだけだ. それが 「早期発見, 早期絶望」 の意味である.

実は, それは常々私が考えていた事でもあった.

それでは発見されたら人生が終りかと言うと, そんな事は無い様だ.

番組でも, 若年性ｱﾙﾂﾊｲﾏｰと診断された男性が, 病気を抱えながら自分らしく生きようとする様子が描かれていた.

この様に自分らしさを大切にする生き方が大事なのは認知症に限った事ではなく, 病気を抱えながら長く生きて行く慢性疾患でも同じだ.

癌やｴｲｽﾞなど, 以前は致死的とされていた病気の場合も, 長く生きるｹｰｽが多くなっている.

改めて自分の生き方を考えさせられた. (引用終り)

人は如何生きるべきか? 何時の時代になっても難しい課題である.

本日のｶｯﾄ写真提供 : 下平 宏氏 (二重富士)

Have a nice day!
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