(2617) ここにも 「岩盤の壁」 が...2017/04/26 03:26

日経に 「私見卓見」 と言うコラムがある.

"医療経済" を専門とする井伊 雅子一橋大学教授が 「専門医制度の導入を急げ」 と題して次の様な問題提起をしておられる.

諸外国で臨床医として働くには, 標準化された専門医研修が必修だ.

然し, 日本の医師は医師国家試験に合格した後に 2 年間の初期臨床研修が必修になっているだけだ.

各臨床分野の専門医になる研修は制度化されておらず, 医師本人の努力義務でしかない.

医療は極めて専門性の高い分野なので, 患者側が医療サービスの内容や質を的確に評価したり, 理解したりする事が困難だ.

この為, 医師の質の担保には専門医制度の導入が必須だと考える.

日本でも諸外国から数十年遅れて漸く専門医制度導入の動きが出て来たものの, 諸団体の反対で導入が延期されている.

本来なら日本専門医機構によって, 2017 年度から 19 の臨床基本領域について, 標準化された専門医研修を制度化する筈だった.

反対意見には 「専門研修プログラムが大病院中心の為, 専攻医が都市部に偏在して地域医療の崩壊を招く」 「大学医局が医師の人事をコントロールし易くなる」 などと言った主張がある.

然し, 今回の専門医制度にはプライマリ・ケア (総合診療) の専門医の養成も含まれ, 地域の診療所や中小病院で研修する事になっている.

大学の役割については, 制度を運営しながら課題を改善して行けば良い.

広く医療界, 国民の合意を得る必要はあるが, 誰もが納得をする完璧な制度を作るまで導入を見送っていては, 何時までも医師の質の改善は進まず弊害のほうが大きい.

そもそも, 先進国として日本に専門医制度がないのは奇妙だ.

各臨床分野をリードする医師の殆どが海外でトレーニングを積んでいる.

日本では世界標準の専門医能力を習得出来ないと言う事か.

数少ない専門家に依存する現状から, レベルの高い標準化された 「国産」 専門医が全国で養成される仕組みに移行すべきだ.

全国の基幹病院で標準化された専門医療を受ける事が出来, どの地域でも標準化されたプライマリ・ケアを利用出来る様にしなければならない.

反対意見やキャンペーンは目立つが, その理由に公共性は乏しい.

多くの国民が日本の医療がより安全・安心で, 費用対効果に優れたものになって欲しいと願っている事を忘れてはならない.

声高に発言はしなくても, 多くの若い医学生と臨床研修医が専門医制度導入を心待ちにしていると聞く.

質の高い専門医になる事を夢見ているのだ.

以上だが, 確か NHK に 「ドクター G」 と言う番組がある.

或る患者さんの症状をドラマ仕立てで紹介, 3 人の若い医師にそれが何の疾患か? ベテランの総合医の解説をヒントに病名を当てさせる番組である.

これを視ていると, 病名診断が如何に難しいものか, 良く理解できる.

"高い山ほど裾野が広い" とは言われるが全くその通りである.

Have a nice day!
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