(2729) 靖国参拝の是非2017/08/16 03:37

昨日は, 戦後 72 回目の敗戦記念日であった.

この日, 閣僚を含めた国会議員の有志が靖国参拝を行っている.

「お国の為に戦い, 犠牲となった精霊に哀悼の意を捧げる為」 との大義名分の下に.

これは大変立派な志である.

然し, 「合祀」 されている A 級戦犯について, どの様な考えの下に参拝しているのか? 彼らは誰一人として明言した事はない.

昭和天皇は, A 級戦犯の合祀を境に, 靖国神社への参拝を取り止めたと言う.

私は, A 級戦犯はやはり 「英霊」 として認められるべきではない, との立場に与する者である. 

従って, A 級戦犯に対する己の態度を明らかにせぬまま, 靖国に参拝する議員は "卑怯者" であるとさえ考えている. 

認めるならその様に明言した上で, 参拝するのが, 人間としてのケジメであり, 戦没者への礼儀ではないのか.

昨日の日経の社説には, 概ね賛同する処が多かったので, 参考までに紹介したい. (以下引用)

『蟠りなく戦没者を追悼したい』

戦後 72 回目の終戦の日を迎えた.

先の大戦で惨禍を被った内外の多くの犠牲者を悼み, 平和への誓いを新たにしたい.

先日, 沖縄県の大田 昌秀元知事が亡くなった.

沖縄戦では, 少年兵で構成する鉄血勤皇隊に動員され, 最前線で伝令などを務めた. 「鉄の暴風」 を生き延びたのは, 師範学校の同期生 125 人のうち 37 人だった.

戦後は米国の大学などで学び, 日本側の資料が略焼失した沖縄戦の様相を米資料などから再現しようと努めた.

<敵と味方を区別せず>
大田氏の知事時代の言動には毀誉褒貶があるが, 大きな業績も残した.

一番は 1995 年, 戦いの最期の地となった摩文仁の丘に 「平和の礎 (イシジ)」 を建設した事だ.

戦没者の名を刻んだ石碑が並ぶ. 沖縄戦では家族全滅, 集落全滅が少なくなかった. 悼む人すら居なくなっていた無名の犠牲者が, 戦後半世紀を経て, 漸く弔われる場を得た.

平和の礎の特徴は, 何処の国籍か, 軍か民間か, そうした事を一切区別せず, 戦地で倒れた延べ 24 万人の犠牲者全員を等しく刻印した事だ.

亡くなれば敵も味方もない. こうした死生観は多くの日本人が共有するものだろう.

平和の礎は追悼施設であると同時に, 日米の, 更には本土と沖縄の 「和解の象徴」 でもあるのだ.

やや似た発想で建てられた祠が東京にある.

靖国神社の境内の片隅にひっそり建つ鎮霊社である.

靖国の本殿に祀られない人々, 例えば会津藩の白虎隊や西南戦争で朝敵となった西郷 隆盛らの霊を鎮める目的で 65 年に出来た.

鎮霊社は 「和解の象徴」 としての評価を広く得ているとは言い難い.

2013 年に安倍 晋三首相が靖国参拝した際, こちらにも足を運び, 「諸外国の人々も含め, 総ての戦場で倒れた人びとの慰霊の為のお社であります. その鎮霊社にお参りをしました」 と力説したが, 却って中国や韓国の反発を増幅した感があった.

平和の礎と鎮霊社.

二つの違いは何処にあるのだろうか.

これが正解とは断言し難いが, 一つ言える事がある.

真の和解を支える友好の土台がなければ, 上辺だけ取り繕っても, 相手と心を通じ合わせる事は出来ないと言う事だ.

昨年, 現職の米大統領が初めて被爆地ヒロシマを訪れた.

罵声を浴びせられるのではないか, との米側の懸念は杞憂に終った.

謝罪を望む被爆者が居なかった訳ではないが, 勝者ぶらないオバマ氏の振る舞いは広く歓迎された.

両国民が 70 年懸けて築いた友好の土台があったからだろう.

日米同盟は安保の損得勘定だけで成り立っている訳ではない. 少々の不協和音では, 揺らぎようのない仲である.

中韓ともこんな関係を築ける日が来るのだろうか.

公明党の山口 那津男代表は先日, 広島で原爆死没者慰霊碑だけでなく, 韓国人原爆犠牲者慰霊碑にも献花した.

原爆で亡くなった 14 万人のうち, 朝鮮半島出身者は 2 万人もいた.

にも拘らず, 政府・与党首脳がこの碑にお参りしたのは初めてだったそうだ.

こうした小さな積み重ねの先に真の和解はある筈だ.

<戦争指導者と一線を>

一番良いのは靖国神社を巡る問題を解決する事だ.

赤紙で召集された兵隊さんの為に参拝した. 鎮霊社で中韓の犠牲者にも手を合わせた.

そう釈明しても, 参拝すれば合祀されている東京裁判の A 級戦犯を肯定したと受け止められても仕方がない.

政府は過去, (1) 無宗教の新施設を建設する (2) 身元不明者の遺骨を納めた千鳥ケ淵戦没者墓苑を拡充する...などを検討したが, 国民的な支持は得られていない.

追悼に最も相応しい場所はやはり靖国である.

そこを戦前日本の復活を企図する一部の国粋主義者の牙城にしてはなるまい.

「この年のこの日にもまた靖国のみやしろのことにうれひはふかし」. 昭和天皇の御製である.

富田メモによれば、東条 英機らの合祀に憤り, 参拝をやめたとされる.

同じ様な認識の遺族は可成りいるとも聞く.

分祀と呼ぶのが適当かどうかはともかく, 靖国と戦争指導者の間に一線を引く. そうすれば, 周辺国との関係改善に資するし, 何よりも遺族が蟠りなく参拝出来る様になる. (引用終り)

"A 級戦犯" に対しても異論はあるだろう. 然し, 戦争を惹き起し, 無謀極まりない戦いを強い続けた戦争指導者たちは, やはり何らかの責任を負わねばならないだろう.

Have a nice day!
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