(2834) 青酸連続殺人事件と 「公訴棄却」2017/11/09 02:05

青酸化合物を使用した連続殺人事件で, 京都地裁は 7 日, 「金銭欲のための犯行で悪質」 として, 殺人罪などに問われた筧 千佐子被告 (70) に死刑を言い渡した.

裁判では, 認知症を発症した被告の事件当時の責任能力や, 公判で自らを守る訴訟能力が争点になったが, 判決はいずれも認定した.

弁護側は即日抗告したと言うが, 私は概ね "適正な" 判決であったと考えている.

状況証拠から見ると, 「黒に限りなく近い黒」 である.

高齢化社会に伴い, 同種の事案は今後増加が予想される.

中川 綾子裁判長は, 4 事件全てが青酸化合物を使った被告の犯行と認めたのである.

「6 年間で 4 回も反復し, 人の生命を軽視している」 と指摘し, 「認知症などを最大限考慮しても死刑を回避すべき事情はない」 と述べている.

公判では, 訴訟能力を巡り検察と弁護側の主張が真っ向から対立した.

精神鑑定を担当した医師が検察側証人として出廷している.

一方, 弁護側は 「認知症が進行し, 裁判で自らを守る能力はない」 と強調したものの, 証人や証拠の申請はなく, 再鑑定の求めは地裁が却下した.

判決は, 鑑定の信用性を認めた上で, 計画性などを基に事件当時の完全責任能力を認定した.

認知症は 2015 年ごろに発症したと判断. 今年 6 月の初公判以降, 被告の言動も踏まえて訴訟能力があると結論付けた.

認知症と訴訟能力を巡っては, 最高裁が昨年 12 月, 2 人への殺人罪に問われた男性被告の公判を打ち切る 「公訴棄却」 の判決を言い渡した事例もある.

男性被告は統合失調症に加え, 認知機能の障害を併発.

「被告に訴訟能力の回復の見込みがない場合, 裁判所の判断で公判を打ち切ることができる」 と判断した.

法務省によると, 15 年の刑法犯摘発人数の 19.9% は 65 歳以上の高齢者と言う.

逮捕・起訴から公判開始まで長期間を要する事案では, 途中で認知症を発症したり, 症状を悪化させたりするケースは増えるとみられる.

認知症と刑事裁判の関係に詳しい慶応大の村松 太郎准教授 (司法精神医学) は 80 件以上に上る鑑定の経験を基に 「裁判所は 『裁判員への分りやすさ』 を重視し, 審理時間の短縮や説明の簡略化を求める傾向が強い」 と指摘している.

また, 「本来的に難しい分野の話であり, 裁判の在り方が問われている」 と課題を挙げている.

本件も 「公訴棄却」 となってしまうと, 被害者は勿論, 遺族の方々は無念の想いに駆られるに違いない.

本日のカット写真提供 : 下平 宏氏 (ミサゴ・シリーズ : ダイブ ④)

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