(2840) 脳守る仕組み (血液脳関門) を破壊2017/11/15 02:44

水俣病の原因物質である, メチル水銀を摂取すると, 小脳などの脳血管に特定の蛋白質が生じ, 脳内への有害な物質侵入を防ぐ仕組みが壊れ, 血中の物質が漏れ出している現象を, 新潟大脳研究所神経内科の下畑 享良准教授らのチームがラットを使った研究で突き止めている.

水俣病では体の円滑な動きを司る小脳や, 視覚に影響する大脳の後頭葉に障害が出て, ふらつきなどの症状が現れる原因が分っておらず, 病態解明に繋がる可能性があると言う.

蛋白質の働きを抑える抗体投与で運動機能の障害に改善があったといい, 下畑准教授は 「メチル水銀中毒の初期段階に有効な治療薬の開発が期待出来る」 とコメントしている.

チームが着目したのは 「血管内皮増殖因子 (VEGF)」 と呼ばれる蛋白質で, 過剰に発生すると, 有害物質から脳を守る 「血液脳関門」 を破壊する作用がある.

実験でメチル水銀を投与され中毒症状を示したラットは, 小脳と後頭葉で VEGF が増加.

増え方が顕著だった小脳では血中の物質が血管外に漏れていた事を確認したと言う.

血液脳関門 (BBB = Blood-Brain Barrier) とは, 正常な脳組織には血液中のある物質, 例えば, 脳にとって有害な物質が脳内に侵入するのを防ぐ機構があり, 毛細血管の内膜の働きによるとされている.

血液‐中枢神経 (脳と脊髄) 組織間の物質 (酸素, 炭酸ガス, 水を除く) の移動速度は他の組織に較べて著しく低い.

色素, 毒素, ウイルスなどは全く透過しない.

この事から, 中枢神経の毛細血管と神経細胞の間には, 何らかの透過障壁があると考えられており, この障壁を血液脳関門と称している.

血液脳関門は中枢神経細胞の外液を恒常的に保つ為の保護機構と考えられている.

然し, 一方では, 多くの抗生物質などがこの関門を通り難い事は, 中枢神経感染症治療の妨げともなっている.

胎児や新生児ではこれが十分働かない. 新生児核黄疸は, 正常では入らない筈のビリルビンが血中から脳内に入る事によって起る.

また, 認知症の治療薬開発が困難なのも, この血液能関門のメカニズムが存在する為である.

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