(3010) 三木 成夫 著 『胎児の世界 : 母胎の奥の壮大なドラマ』2018/05/04 03:00

一昨日, 上野の国立科学博物館で開かれている 「特別展 - 人体 : 神秘への挑戦」 を観に行って来た.

NHK スペシャル 「人体」 でも紹介された, 人体に関する最新の研究成果が紹介されている.

番組をご覧になった方が沢山いらっしゃると思うが, 人体は脳だけではなく, あらゆる臓器がネットワークを構成して "情報交換" を行っている事が判明していると言う.

東洋医学は "血流" の改善が要諦となっているが, その情報交換を担っているのが血液である事に鑑みると, 鍼灸やマッサージはもっと脚光を浴びても然るべきではないか, との想いを強くした展示会であった.

さて, 閑話休題.

標題の本は中公新書の一冊である. 私の本棚にある愛読書の一冊でもある.

過日, 美術家の鴻池 朋子さんが, 日経のコラム 「読書日記」 で以下の如く紹介をされていた. (以下引用)

東京芸大で日本画を専攻していた 1980 年代前半. 世の中にサブカルチャーが台頭し, 音楽やファッションに新しい波が起きていた.。

それなのに、外界から遮断されて古臭い日本画を描かされる大学生活に次第に情熱を失いつつあった.

そんな最中, 解剖学者の三木 成夫先生の講義は学生に不思議な人気があった.

「胎児は母体の中で 30 億年の旅をするんです」 と熱く語る口調が今でも忘れられない.

講義の内容を纏めたのが 『胎児の世界』 (中公新書) だ.

大学から 「『性』 の組み込まれた 『保健』 の講義」 を頼まれた先生は, 「『性』 の営みとは, 本来それに続く次代の 『生』 を抜きにして考える事の出来ないもの」 と考える.

詰り 「妊娠」 の真相解明なしに性を語る事は出来ないと思い至るのだ.

この 「『母胎』 の奥の壮大なドラマ」 を芸大生たちに視覚的に訴える為, 先生は刻々と形を変える胎児の, それも真正面からの顔を何とかして写真に撮って見せようと試みる.

最も厳粛な 「見てはならぬもの」 の 1 つである母胎の世界を明らかにする事に躊躇いを感じつつも, 32 日目の胎児の顔を見る.

「フカだ! 思わず息を吞む. やっぱりフカだ...」

やがて先生は胎児の顔の変貌の中に, 古生代の魚類から始まって, 両生類, 爬虫類, 鳥類, 哺乳類へと, 海から陸へ上がる生物の進化の過程の縮図を見出し, 哲学的な思索を深めて行く.

医師, 研究者, そして教育者として, 医大と芸大を行き来する先生の授業は学際的な魅力に溢れ, まさに表現者だった. (引用終り)

胎児は母体の中で 30 億年の旅をする...生命の神秘に想いを致す事の出来る一冊と言える.

上野の展示会は 6 月 17 日まで開かれているが, 上記の本 「胎児の世界」 と併せて, お勧めしておきたい.

Have a nice holiday!
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