(3228) 造血幹細胞作る技術開発, マウスで再現2018/12/08 02:19

東京大学の山崎 聡特任准教授と中内 啓光教授らは様々な細胞に育つ iPS 細胞を使い, 動物の体内で血液のもととなる 「造血幹細胞」 を効率よく作る基盤技術を開発している.

造血幹細胞が体内で生まれる仕組みをマウスの実験で再現したのである.

応用すれば, 人の造血幹細胞をブタなど別の動物の体内で作り出す 「血液工場」 の実現に繋がると言う.

研究チームは iPS 細胞をマウスに移植すると, 様々な組織の細胞が混ざったテラトーマ (奇形腫) と呼ぶ塊が出来る事を利用した.

iPS 細胞に 3 種類の遺伝子を入れておくと奇形腫の中で血管に似た構造が出来, 血管の細胞から造血幹細胞が育つ.

遺伝子操作で貧血にしたマウスに, 別のマウスから作った iPS 細胞を移植する実験をした.

造血幹細胞が出来る効率が向上し, 従来に比べ, 10 倍以上の数の造血幹細胞を作る事が出来た.

従来は複雑な手法で効率も低かったのである.

骨髄にある造血幹細胞の移植はドナー不足が問題となっており, iPS 細胞から造血幹細胞を作る技術開発が期待されている.

新技術で作った造血幹細胞をマウスに移植すると, 血液や免疫の細胞を作る事を確認しており, 移植治療に利用出来ると見ている由.

また, 中内教授らは人の iPS 細胞を利用し, ブタなどの体内で人の臓器を作る研究にも取り組んでいる.

今回の手法を応用する事で, 人の iPS 細胞をブタに移植して人の造血幹細胞や血液を生み出す事も視野に入って来ると言う.

山崎特任准教授は 「臓器を作るよりも仕組みが簡単な為, 実用化のハードルは低い」 とコメントしている.

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