(3264) 免疫治療薬がもたらした福音2019/01/13 02:16

今回も,引き続き, 中川 恵一東京大学病院准教授が日経に連載しているコラム 「がん社会を診る」 から引用したい. (以下引用)

ノーベル生理学・医学賞が京都大学の本庶 佑特別教授に授与される理由は 「免疫抑制の阻害による癌治療法の発見」 です.

この研究が 「オプジーボ」 など新しいタイプの免疫治療薬の開発に繋がりましたから, 多くの癌患者に福音をもたらした事になります.

免疫細胞は、細菌やウイルスなどの侵入者の他, 体内で生まれた癌細胞も異物として排除します.

然し, その働きが強くなり過ぎると, アレルギーやリウマチと言った自己免疫疾患になり易くなります.

逆に, 免疫が過敏なアレルギー患者には癌も少ないと言うデータもあります.

免疫系には, その働きが過剰とならない様に自ら抑制する仕組みが備わっています. これを 「免疫チェックポイント機構」 と呼びます.

この仕組みを悪用し, 免疫細胞の攻撃にブレーキを懸ける能力を癌細胞は持っています.

癌が進むと免疫側の攻撃力が低下するのはこの為です.

オプジーボは, 懸けられたブレーキを解除させて, 免疫細胞による癌細胞への攻撃を再開させます.

その働きから, オプジーボに代表される薬は 「免疫チェックポイント阻害薬」 と総称されます.

オプジーボは当初, 皮膚癌の一種の悪性黒色腫については保険適用となりましたが, 年間 3500 万円近い超高額な薬価が大きな話題となりました.

その後, 肺, 胃, 腎臓などの癌でも保険が利く様になり, 薬価も現在は年間 1 千万円以下まで引き下げられました.

肺癌の場合, オプジーボによって腫瘍が半分に縮小する確率は 2 割程です.

それでも従来の抗癌剤より効き目が長く, 全身に転移した病巣が完全に消えて 3 年以上元気に暮している患者を私も経験しています.

かつては転移は死を意味しましたが, 免疫チェックポイント阻害剤の登場によって, 完治の可能性も出て来たと言えます.

尤も, 免疫に懸かっていたブレーキが外れてアクセル全開の状態になりますから, アレルギー反応や自己免疫疾患のリスクが高くなります.

実際, オプジーボでは, 間質性肺炎や重症筋無力症, 心筋炎などを高い頻度で発症しますから注意も必要です. (引用終り)

「免疫チェックポイント阻害薬」 のメカニズムが分り易く解説されている, また本庶先生がノーベル賞を受賞した理由も良く.理解できる.

本日のカット写真提供 : 下平 宏氏 (ダイビング)

Have a nice weekend!
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