(3501) 癌転移粒子 「エクソソーム」 を抑制2019/09/07 02:57

癌細胞から放出され, 転移などを促すカプセル状の微粒子に着目し, 癌を治療する研究が相次いでいる, と日経が報じている..

国立がん研究センター研究所などは微粒子が全身へ広がるのを防ぐ技術を開発.している

また, 新山手病院などは微粒子の性質を利用し, 癌を攻撃する免疫細胞の能力を高める事に成功している.

微粒子の応用研究が進めば, 癌の転移を抑える新しい治療法の開発に繋がる可能性があるという.

国立がん研究センター研究所は, 血液中のエクソソームを捕らえる抗体を癌を移植したマウスへ投与した.

微粒子は 「エクソソーム」 と呼ばれ, 脂質の膜で出来ている.

直径 50 - 100 ナノ (ナノは 10 億分の 1) メートルのカプセル状で, 癌細胞が大量に放出して全身に広がる.

微粒子は, かつては, 単に細胞内で不要になった物質を細胞外へ運び出す役割を担うと思われていた.

然し, 最近になり, 癌に栄養を供給する血管を作ったり, 癌を攻撃する免疫細胞の働きを妨げたりして, 転移や増殖を促すと言う事が判明したと謂う.

血液中の有無を調べて癌を早期発見する研究が盛んだが, 治療の研究も進み始めている.

東京医科大の落谷 孝広教授と国立がんセンター研の吉岡 祐亮研究員らは, 血液中の微粒子を抗体で捕らえる技術を開発している.

表面にある CD9 と CD63 と言う蛋白質に抗体がくっつく.

ヒトの乳癌を移植したマウスへ投与し, 転移を半分以下に抑える事に成功した.

標的の蛋白質を増やし, 5 - 10 年後の実用化を目指すと言う.

また, 落谷教授は小坂 展慶客員准教授らと, RNA (リボ核酸) で微粒子の生産も抑える事にも成功している.

RNA で微粒子を作る遺伝子の発現を抑えたヒトの乳癌を, マウスへ移植して転移を半分以下に減らしたのである.

核酸医薬を 5 - 10 年後に実用化する計画と言う.

新山手病院の小山 義之・臨床医用工学研究室長と大阪府立大学の杉浦 喜久弥教授らは, 癌を攻撃する樹状細胞に微粒子を取り込ませている.

癌由来の蛋白質を認識して細胞が活性化. これを悪性黒色腫のマウスへ注射した処, 癌細胞の増殖を 3 分の 1 に抑える事が出来た.

5 年後の臨床試験 (治験) の開始を目指している.

一部の癌は, 抗癌剤を細胞外へ排出するなどして生き残る.

免疫の攻撃力を高める癌免疫薬 「免疫チェックポイント阻害剤」 も効果があるのは一部の癌に限られている.

あらゆる癌の転移や増殖を促す微粒子が全身に広がるのを防いだり, 免疫細胞の攻撃力を高めたりするのに使う事で癌の転移や増殖を防げる可能性があると言う.

本日のカット写真提供 : 下平 宏 氏 (カワセミの親子)

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