(3804) ゲノム編集で目の治療2020/03/29 02:24

遺伝子を効率的に改変出来るゲノム編集技術を使い, 子どもの失明の原因になる目の病気で遺伝子治療の臨床試験を始めると, 米バイオテクノロジー企業が発表している.

簡単に使えるため世界で急速に広がる 「クリスパー・キャス 9」 という手法を活用して, 人の体内で原因遺伝子を直接修復する世界初の臨床試験と言う.

病気の治療はゲノム編集の応用で最も期待されている分野の一つ.であり, 成否は今後の遺伝子治療の広がりを占う試金石になる.

一昨年発覚した中国の研究者による受精卵へのゲノム編集の様に, 影響が将来世代に引き継がれる恐れはなく, 遺伝子の改変は患者の患部に限定される, と想定している.

臨床試験は, 特定の遺伝子の変異が原因の 「レーバー先天性黒内障 10 型」 という病気を対象にしたもの.

米エディタスメディシンなどが計画している.

患者数は多くないが, 子どもの頃に発症し, 目の網膜の機能が正常に働かず, 進行して失明する事もある疾患である.

計画では, 3 歳以上の子どもと大人計 18 人に対し, 網膜下にゲノム編集の薬剤を注射する.

薬剤は細胞への運搬役となるウイルスベクターに, 原因遺伝子の変異部分を正確に探し出すリボ核酸 (RNA) と, 変異部分を切り取って機能を正常化させる鋏み役の酵素を組み込んでいると言う.

薬剤の濃度を変えるなどして, 意図しない遺伝子の改変が起きないかなど, 安全性を評価するとともに有効性を調べる.

クリスパー法を巡っては, これまでに, 体外に取り出した血液などの細胞を遺伝子操作して体内に戻し, 血液の病気や癌の治療を目指す臨床試験が既に米国などで実施されている.

日本でも自治医大のチームが血友病の治療を目指すなど研究が進むが, 人に臨床応用する段階には至っていない.

米国では, クリスパー法より古いゲノム編集の手法を使って, 体内の遺伝子を直接操作する臨床試験も行われている.

ゲノム編集とは, 生物の遺伝子を改変する技術の一種で, 特定の遺伝子を働かなくしたり, 別の塩基配列で置き換えて新たな機能を持たせたり出来る.

2012 年に 「クリスパー・キャス 9」 という手法が登場して, 簡単で効率的に改変出来る様になり, 農作物の品種改良や医療分野での利用が広がった.

受精卵や精子, 卵子の改変は, 改変が世代を超えて影響する恐れがある他, 親が望む容姿や体質を持つ 「デザイナーベビー」 の誕生に繫がり兼ねず, 現状では慎重論が根強い.

Have a nice weekend!
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