(3811) ALS や筋ジストロフィー, 薬を届ける研究加速2020/04/05 01:16

薬が届き難い脊髄や筋肉の難病を治療する研究を大学が加速している, と日経が報じている.

認知症などの患者が多い脳で取り組みが先行するが, 脊髄や筋肉の難病は市場規模が小さく, 製薬企業が新薬の開発に手を出し辛い.

こうした部位に薬を上手く運ぶ技術が確立されれば, ALS (筋萎縮性側索硬化症) や, 筋ジストロフィーなどの治療薬の開発に繫がると期待される.

薬の成分は通常, 血液とともに目的の部位に運ばれて行く.

然し, 脊髄の近くにある血管は特殊な構造をしていて, 細菌やウイルスとともに, 薬の成分が届くのを邪魔している.

また, 筋肉は臓器や組織に比べて血管が少ない為, 薬が届き難い.

この為, 両部位で発症する病気は治り難く, 難病指定が多い.

また, 認知症などに比べると国内の市場規模は小さく, 製薬会社による新薬の研究開発が進み難い状況にある.

脳も 「血液脳関門」 という強固な壁で守られるが, 関連の病気の患者数が多く, 薬を届ける技術の開発で先行している.

2015 年に約 520 万人だった認知症の国内患者数は 25 年に約 700 万人に増える見込みとなっている.

この技術を応用するなどして, 脳に続いて薬を運ぶ技術が求められる脊髄や筋肉を対象とした研究成果が大学で相次いでいる.

日本大学の金沢 貴憲専任講師と小菅 康弘准教授は, 脊髄や脳幹に効率よく ALS の薬を届ける技術を開発した.

治療効果を期待できる化合物を入れた微小なカプセルの表面に, 細胞の膜を通るペプチド (蛋白質の断片) を付着させたと言う.

金沢専任講師は, これまでに鼻の奥から脳に続く神経の隙間を通り, カプセルで薬を脳に運ぶ技術を開発済み.

今回はその技術を脊髄などに薬を運ぶのに応用した.

ALS のマウスの鼻にカプセルを投与した処, 神経を通じて脊髄などに到達し, 運動能力が下がるのを防ぐ事に成功した.

「神経が原因で起きる痛みや, 脊髄損傷の治療にも使える可能性がある」 (金沢専任講師) との事.

10 年以内の医師主導の臨床試験 (治験) 開始を目指している.

一方, 東京薬科大学の根岸 洋一教授は, 蛋白質を作る RNA (リボ核酸) を入れたカプセルをマウスの脚に注射し, 超音波を当てた.

それにより, 筋肉の細胞の膜に穴が開き, RNA を効率的に細胞に運ぶ事が可能になったと言う.

根岸教授は 「病気の細胞に欠けた蛋白質を作らせれば筋ジスを治療できる」 と期待する. 5 年後の治験開始を目指している.

ALS 治療薬の国内市場は年間 100 億円強. 認知症の 1500 億 - 2 千億円や, 抗癌剤の 1 兆 2 千億円に比べると小さい.

多くの病気で 1 つの薬を作るのに平均で約 2 千億円, 10 年以上の期間が懸るとされる.

脊髄や筋肉に薬を届ける基礎研究は欧米や中国など海外の研究機関でも進んでいる.

だが患者の数が少なく市場規模が小さい難病では製薬企業の開発意欲が盛り上がらない事情は日本と同じだ.

研究成果が出たとしても, 難病は企業努力のみで創薬に結び付けるのは難しい.

脊髄や筋肉を含め, 国の支援で治験に繫げる事も必要, との指摘は少なくない.

Have a nice weekend!
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