(3936) 蛋白質合成, 失敗を再現, 神経性疾患の予防に期待2020/08/08 01:12

東北大学の稲田 利文教授ら日独の研究グループは, 細胞内で蛋白質を合成している器官 「リボソーム」 が異常を感じて停止する詳細な仕組みの解明に成功している.

上手く停止しないと不良な蛋白質が蓄積し, アルツハイマー病などの神経変性疾患を起すと考えられており, 予防や治療法の開発に繫がる成果と言う.

リボソームは蛋白質の設計情報を記録した RNA (リボ核酸) の塩基配列を読み取ってアミノ酸を合成, 繫げて蛋白質を作っている.

RNA の塩基配列の異常などでアミノ酸の合成が滞ると, リボソームは途中で停止して, 合成中の蛋白質を分解する品質管理の仕組みが働く.

然し, その詳細な内容はこれまで不明だったとの由.

稲田教授らは, 酵母の約 6000 の遺伝子の中から, 高い確率で合成が失敗する塩基配列を発見し, この配列情報を使って, 試験管内で蛋白質の合成失敗の瞬間を再現する事に成功したのである.

特殊な電子顕微鏡を使って観察すると, RNA をなぞって動いていたリボソームが止まり, 後続の 2 つのリボソームと衝突していた.

その後, 3 つのリボソームに目印が付けられ, 異常時に働く専用の酵素がリボソームをその場から撤去する一連の反応を確認する事が出来た.

停止した蛋白質の合成が上手く復旧しないと, 必要な蛋白質が出来ず異常な蛋白質も溜まる.

アルツハイマーやパーキンソン病など神経細胞が変質して起きる病気との関係が指摘されている.

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