(4087) 子宮頚癌ワクチンの効果2021/01/06 01:38

今回は, 中川 恵一東京大学病院准教授が日経に連載している 「がん社会を診る」 からの引用です. 参考にして戴きたい
.
子宮頚癌は胃癌や肝臓癌と並ぶ 「感染型の癌」 の代表で, 発症原因の略 100% が性交渉に伴うヒトパピローマウイルス (HPV) です.

冷蔵庫の普及や上水道の整備などによって, ピロリ菌の感染が減り, 胃癌の死亡率は 10 年で約 3 分の 2 となっています.

更に減っているのが肝臓癌で, 輸血の血液から肝炎ウイルスを除去する事などで, 死亡率は 10 年で半減しています.

一方, 一時減少していた子宮頸癌は 2000 年頃から再び増加に転じています.

本来減っていく筈の感染型の癌が増えているのは, 先進国の中では異例の事態です.

この癌の発症のピークは 30 代ですから, 菅内閣が取り組む少子化対策としても重要です.

この連載でも何度も触れて来ましたが, HPV を予防するワクチンが開発されており, 我が国でも, 13 年から, 小学校 6 年 - 高校 1 年の女子を対象に定期接種が始まっています.

然し, 「副反応」 の映像を巡って大騒動となり, 一時は 8 割近くあった接種率は現在, 略ゼロです.

こうした中, 厚生労働省は, 10 月 9 日, HPV ワクチンに関するチラシを改訂したと発表しました.

「小学校 6 年 - 高校 1 年相当女の子と保護者の方へ大切なお知らせ」 です.

HPV ワクチンの効果についても触れており, 概要版には 「前癌病変が実際に減る事が分っていて、癌そのものを予防する効果を実証する研究も進められています」 と言う記述があります.

確かに, ワクチンが子宮頚癌を減らすか如何かはこれまで確認されておらず, 「ワクチン不要論」 の論拠の一つとなって来ました.

然し, 10 月 1 日, 世界トップクラスの米医学雑誌に, HPV 予防ワクチンが実際に子宮頚癌を予防すると言う研究結果が掲載されました.

スウェーデンの研究グループが, 同国内の女性 167 万人について調査した結果です.

17 歳未満 (日本の定期接種の対象年齢に相当) で接種した場合は, 子宮頚癌のリスクが 88% 低下.

17 - 30 歳の接種の場合は 53% 低下していました.

ワクチンによる子宮頚癌の予防効果が実証された意義はとても大きいと思います. (引用終り)

然し乍ら, 日本ではワクチンによる副作用と疑われ深刻な症状が出た事実があり, 厚労省は事実関係を解明し, 解決策を講じないと, 接種を躊躇う女性は減らないであろう.

本日のカット写真提供 : 下平 宏氏 (夕日を浴びて富士に向かう)

Have a nice day!
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