健康小話

大麻に似た脳内物質 「内因性ｶﾝﾅﾋﾞﾉｲﾄﾞ」 が脳の発達時期に関係している事が分った, との研究結果を, 鳥取大などのｸﾞﾙｰﾌﾟが米科学誌に発表している.

この物質が脳発達を制御する事を明らかにしたのは初めてで, 弱視など脳の発達不全で引き起される病気の治療に応用出来る可能性があると言う.

ｸﾞﾙｰﾌﾟは, 人間など多くの哺乳類は, 幼少期に片目を覆うなど長期間視界を遮られると大脳の視覚野が正常に発達せず, 弱視になる事に着目し, 脳の発達が外界の影響を最も受ける時期 「臨界期」 との関係を調べた.

内因性ｶﾝﾅﾋﾞﾉｲﾄﾞは, 脳の神経細胞間の情報伝達を制御する働きを持つ.

今回は内因性ｶﾝﾅﾋﾞﾉｲﾄﾞが分泌されない様にしたﾏｳｽと正常なﾏｳｽで片目を覆い, 視覚の発達と時期を調べた.

その結果, 分泌されないﾏｳｽはより早く弱視となり, 正常より早く臨界期が始まっている事が分った.

弱視になっただけではなく, 立体的に物を見る為に必要な奥行きの認知能力も低下したと見られる.

今回の結果から, ｸﾞﾙｰﾌﾟは大麻にも注目. 未成年が大麻を摂取すると, 脳の発達に変化が生じ, その影響は成人後も残る恐れがあると言う.

内因性ｶﾝﾅﾋﾞﾉｲﾄﾞは視覚以外の感覚にも関わる可能性があり, 畠 義郎･鳥取大教授は 「脳の発達不全の治療を考える上で重要だ」 とｺﾒﾝﾄしている.

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