(5434) ダニ媒介の感染症増加, 過去最多に迫る2024/09/16 01:57

近年, 野外のダニが媒介する感染症が相次いで報告されていると言う.

このうち致死率が高い 「重症熱性血小板減少症候群 (SFTS)」 の今年の感染者は, 国立感染症研究所によると西日本を中心に約 90 人となり, 過去最多だった昨年に迫る勢いとなっている.

野山に生息するダニが感染源で春から秋に活動的になる. 発生地域も広がっていて 「キャンプ場や散歩コースなど意外と身近な場所にいる」 と専門家は予防を促している.

ダニ媒介感染症は, ツツガムシ病, 日本紅斑熱などが昔から知られる.

一方, 2013 年に日本で初めて山口県での SFTS 患者が発表された他, 21 年に北海道でダニが媒介したと見られるエゾウイルス, 23 年に茨城県で同様にオズウイルスが人から検出された事が報告されるなど, 近年新しい感染症も見付かっている.

この内 SFTS は致死率が 3 割弱程度と高いのが特徴だ. 6 - 14 日の潜伏期を経て発熱や下痢などの症状が出る.

感染研によると 23 年の報告数は 133 件. 主に野外でダニに咬まれて発症するが, ペットから人への感染例や, 患者から医師への感染例もあった.

住宅地に近くても野山に続いている場所は特に注意が必要と言う.

ダニ媒介感染症に詳しい静岡県立静岡がんセンターの倉井 華子・感染症内科部長は 「登山をしなくても, 咬まれる可能性がある」 と話している.

12 年に川崎医大のチームが 426 例を調べた処, ダニに咬まれた場所や状況は, 登山・高原などが 237 例 (56%) と最も多いが, 畑作業 101 例 (24%), 山菜採り 40 例 (9%), 自宅の庭 33 例 (8%) だった.

近くにシカやイノシシなどの野生動物が出るか如何かが一つの基準になると言う.

体の部位別では首や頭, 手脚を咬まれる事が多い. 痛みを感じ難く, 直ぐに気付かない事もある.

ダニは吸血すると, 自分の体の数倍以上に膨張する. 但し吸血中のダニを無理に引き抜くのは危険だ. 皮膚の中に潜り込んだダニの頭部が残ってしまう事があり, その場合は医療機関での処置が必要となる.

対症療法しかなかった治療法に進展があった. 富士フイルム富山化学の 「アビガン」 が今年 6 月, 治療薬として製造販売承認された.

元々新型インフルエンザ用に政府が備蓄していた薬だ.

倉井氏は 「何より大切なのは咬まれない様に予防する事だ」 とアドバイスしている.

自然の多い場所では長袖, 長ズボン, 帽子, 手袋などで肌の露出を避け, 首もタオルなどで覆い, 虫除けスプレーの使用, 野外活動後の入浴を勧めている.

Have a nice holiday!
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